沖縄戦 若者が継承 琉大生「語りつぎ部」真和志小で講演


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児童たちの前で沖縄戦体験を語り継ぐ山城江里花さん(右)と平仲愛里さん=20日、那覇市寄宮の真和志小学校

 体験者が沖縄戦を「語る」のではなく、沖縄戦を体験していない若者が「語り継ぐ」―。琉球大学の学生有志「語りつぎ部(べ)」の山城江里花さん(22)、平仲愛里さん(22)は20日、那覇市の真和志小学校(新垣公子校長)の平和集会を訪れ、約540人の全校児童を前に沖縄戦の悲惨さを若者が学び、語り継いでいく大切さを訴えた。

 伊江島出身の山城さんは、米軍の砲弾を受け、辛うじて今も島にその無残な姿を残す公益質屋跡の写真を紹介した。米軍の攻撃を受けて大きく穴の開いたコンクリートの壁や無数の弾痕を、児童たちは食い入るように見つめた。山城さんは、沖縄戦当時10歳だった祖父が伊江島から今帰仁へ疎開し、自分の父の死に立ち会えず悔しい思いをしたことを話した。
 2人が「語りつぎ部」として活動を始めたのは2011年。初めは、大人たちには身内の体験談を人に話すことに抵抗があり、沖縄戦を語り継ぐことに「葛藤があった」という。しかし「沖縄戦の事実を聞いて伝えなければ後悔する」と思い、沖縄戦体験者から話を聞いた。以来、県内の小中学校を中心に、講演や「孫が伝える沖縄戦」と題した劇を通して平和の大切さを訴えている。
 2人は卒業論文や就職を控え、今後の「語りつぎ部」としての活動は未定だという。しかし山城さんは、いずれは伊江島の言葉で「自分の子どもへ語り継ぎたい」、平仲さんは「沖縄戦を体験していなくても、私たちは皆、沖縄戦体験者の子どもや孫たちだ。各家庭にそれぞれの沖縄戦があり、それを語り継いでいく必要がある」と力を込め、今後も次世代へ沖縄戦を語り継ぐ決意を示した。