JAおきなわ(砂川博紀理事長)は、県内で伝統的に食されてきた島野菜の生産拡大を10月をめどに本格化させる。地産地消を推進する県内9店舗の直売所「JAファーマーズマーケット」を拠点に生産者の育成や知名度向上を図る。2015年までに「島ヤサイの日」(4月8日)の制定も視野に入れ、県や市町村、生産者と連携して消費拡大を進めていく。
島野菜については、県流通政策課が地域固有の野菜を総称し、おきなわ伝統野菜と位置付けている。ゴーヤーや島ラッキョウ、シマナー(カラシナ)、サクナ(長命草)など全28品目を指定。ナーベーラー(ヘチマ)やウンチェー(エンサイ)など夏場の野菜もあり、同課の担当者は「県内で葉野菜ができない夏場に、県外産でなく島野菜を消費してほしい」と地産地消の推進効果にも期待している。
JAは連携組織の代表で構成する会議を定期的に開催し、今後のスケジュールや役割分担などを話し合う方針。10月までに各品目ごとの生産部会も立ち上げ、安定供給体制を整える。栽培マニュアルの作成や優良品種の選抜も進め、生産基盤を固めていく考えだ。
販売戦略は、ファーマーズマーケットに「沖縄しま野菜」コーナーを明確に設置し、試食販売やレシピを紹介する食育ソムリエも各店に配置する。県外の沖縄料理店や居酒屋への出荷、6次産業化への展開も視野に入れている。
全ファーマーズマーケットにおける28品目の12年度売上高は、総売上高の7・2%に当たる4億3820万円に上る。JAおきなわファーマーズ推進部の山城隆則部長は生産体制の確立による品種保護への効果も期待。さらに「安定生産のためには農家にもうけが必要。『ここにしかないもの』を生産して、量販店との差別化を図る」と力を込めた。(長嶺真輝)