政府、米軍運用を優先 オスプレイ追加配備


社会
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 仲井真弘多知事らが強く反対する中、米軍普天間飛行場への垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機追加配備に向け、今月最終週に12機が山口県・岩国基地に搬入されることが発表された。

日本政府は21日の参院選に影響を与えかねないとして、追加配備は選挙後に行うよう米側に配慮を求めていた。だが県が求める配備見直しをそのものを検討する考えはない。「安全性への懸念が払拭(ふっしょく)されていない」(知事)オスプレイの配備に反対する地元の意思に反して配備が再び強行されることが濃厚となった。
 日米両政府は合同の離島奪還訓練として、米軍のオスプレイが海上自衛隊護衛艦で発着艦する訓練を初めて行い、その模様を公開するなど、安全性のアピールに懸命だ。防衛省幹部は「配備は既定路線。変更の余地はない。日本の安全保障に不可欠で安全な航空機であることを今後も丁寧に説明し理解を求めるしかない」と繰り返す。
 一方で昨年10月に普天間に12機を配備して以降、沖縄をはじめ、低空飛行訓練ルートに関係する本土自治体からも安全性を疑問視する声は収まらない。昨年9月に日米合同委員会で合意した安全確保策については沖縄から合意違反の指摘が相次ぎ、飛行ルールの形骸化が露呈している。
 県が飛行合意違反だと指摘した318件について日本政府は「明確な違反は確認されていない」との調査結果をまとめている。「運用上必要な場合を除き」との例外規定を盾に米軍は「順守している」との主張を繰り返し、合意の不備は鮮明になっている。
 オスプレイ追加配備にとどまらず、嘉手納基地のF22A戦闘機の配備延長、騒音激化などで県民の負担感は増している。安倍政権は負担軽減への努力を強調する一方、尖閣諸島をめぐる中国との緊張関係などを「口実」に在沖米軍の運用を拡大させる姿勢を強めている。(問山栄恵)