西海岸開発 方針示さず 松本浦添市長就任5ヵ月


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 【浦添】松本哲治浦添市長は間もなく就任5カ月となる。6月下旬に終了した市議会定例会では、市西海岸部に広がる米軍牧港補給地区の沖合を埋め立てる開発事業の答弁が注目されたが、具体的な方針は示さず、不満が漏れた。埋め立て地先には米軍那覇軍港移設計画がある。

選挙戦では軍港移設反対を掲げて当選したが、「ゼロベース」で見直す考えを示している西海岸開発事業と併せて、今後明確な意思表示を求められることになりそうだ。
 牧港補給地区は日米両政府が4月、海兵隊の国外移転などを条件に2024年度以降に分割して返還することで合意したが、市はこれまで返還に先行して沖合開発を進め、企業誘致など経済振興を図ろうと取り組んできた経緯がある。
 13年度は約10年ごとの那覇港湾計画の改定時期に当たる。市にとっては、港湾計画の一部を成す西海岸開発推進に向けた見直しを、県、那覇市との3者でつくる那覇港管理組合に提起できる重要な機会だ。
 西海岸開発について2月に就任した松本市長は「現行案から全面的見直しまで何がベストか最後まで議論したい」との立場だが、6月定例会では具体的な考えを示さなかった。港湾計画改定に西海岸開発を位置付けるためには議論を急ぐ必要があり与党側は「時間がない」と焦りが募る。野党に近い議員からも市の将来を左右する事業の方向性が定まらないことに「9月議会も同じようなら市民が不利益をこうむる」と強い不満が漏れる。
 西海岸開発とは直接関連はしないが埋め立て地先には日米の軍港移設計画がある。市議会で市長は「西海岸にアジア有数のリゾートを造りたい。その沖合の軍港にはいささか疑問を感じる」と答弁。軍港移設には「基本的に反対」といった表現にとどめており、選挙期間中からトーンダウンしている印象もある。
 西海岸開発事業に対する具体的な見解を表明していく過程で、移設問題でも議会などから態度の明確化を求められる可能性もある。45歳の市長の実行力と決断力に注目が集まる。
(普久原裕南)