オスプレイ追加配備 県議会要請を一蹴


社会
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国、米軍方針説明に終始
 オスプレイの追加配備とF22戦闘機の配備期間延長の中止を求めた県議会の要請行動で、武田博史沖縄防衛局長は、安全保障の観点からオスプレイ追加配備の必要性を強調したが、F22戦闘機の配備延長については「米財政上の理由」と説明した。

 オスプレイ追加配備は国防上の観点から必要性を説きつつ、一方のF22配備延長は米側の都合だとする論理は、一貫性を欠いていると言える。さらに米軍の都合に合わせて配備の追加や延長を受け入れ、理屈付けを行おうとする姿勢も垣間見え、米軍の要求を断れない日本政府の在り方があらためて浮き彫りになった。
 11日の要請で、県議らはオスプレイの合意違反が常態化し、深夜まで飛行が続くなど県民生活に著しい影響を与えている実態を厳しく追及した。だが、武田局長は安全保障の観点を持ち出し、「オスプレイの撤去や追加配備中止を申し入れることは難しいと言わなければならない」と要請を一蹴。追加配備を推進する立場を強調した。
 一方、県議から「F22の配備延長は米側の都合ではないか」と指摘されると「紛争の抑止に米国が真剣に取り組んでいるという明確なメッセージを発し、日米同盟に対する米国の関与を示す」などと説明。配備延長が日本の国防上、なぜ必要なのかという理由は不明瞭なまま、米軍の方針を示す説明に終始した。
 こうした武田局長の説明に対して、参加した県議からは「(防衛局は)米国の言い分を県民に伝えるだけの仕事なのか」など批判の声が上がった。
 要請終了後、県議会米軍基地関係特別委員会の新垣清涼委員長は「むなしい」とため息を漏らし、「日米安保を守るためには米軍は必要だと言うばかりで、県民の不安については答えていない」と落胆した表情で語った。
 今回の要請行動では、追加配備をごり押しで進める政府の姿勢が際立った。岩国基地へのオスプレイ搬入が今月末に迫る中、配備中止に向けては、こうした政府の姿勢にくさびを打つ作業が急務だ。(池田哲平)

<オスプレイ追加配備中止求める抗議決議要旨>
 オスプレイの県内配備では、県内41市町村議会で抗議決議が行われ、昨年9月には県民大会も開催し、即時撤回を求める決議が採択された。しかし日米両政府は安全宣言を発表し、オスプレイ12機を配備した。
 このような状況で、嘉手納基地に暫定配備しているF22ラプターの配備期間延長と、普天間飛行場にMV22オスプレイ12機を追加配備することは、県民の思いを踏みにじる暴挙である。
 県民の騒音に対する怒りと不安、墜落への恐怖は払拭(ふっしょく)されず、両政府対応は到底容認できない。県民の生命と安全、生活環境を守る立場から強く抗議し、オスプレイとラプター全機の撤収と米軍普天間飛行場の閉鎖・撤去を強く要求する。

<認可外園防音助成を求める意見書要旨>
 米軍嘉手納飛行場と普天間飛行場を離発着する航空機騒音により、周辺で生活する子どもたちに難聴や精神不安定、睡眠障害など心身に悪影響を及ぼすことが懸念されている。しかし防衛施設周辺の生活環境整備に関する法に基づく防音対策事業は、認可外保育施設を補助対象としていない。
 認可外施設も乳幼児を保育する施設に変わりなく、心身発達の重要な時期に保育環境の格差があってはならない。国には航空機騒音の被害低減を図るよう、下記の事項を強く要請する。
 1 認可外保育施設を防音対策補助対象とすること
 2 補助対象経費には防音、空調設備の工事費のほか維持費も含めること
 3 騒音による乳幼児の健康、生育への影響について実態把握を行うこと