『ボーダー1』 渡辺ペコ著


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

●●●、でしたか……
 「僕が惚れた女性は『●●●』でした」。と書かれているのは、渡辺ペコの新作の帯。っていうかこのキャッチの伏せ字に、『ボーダー』ってタイトル。この表紙の絵。これもう、確実にアッチ方面の話じゃん! ……とにらんで読みはじめたら、やっぱ、そうでした。

 主人公は大学生の清田。彼は友人のピンチを救ってくれた“きれいなお姉さん”のことが忘れられない。しかし、彼女には一筋縄ではいかない理由がある。果たして清田は、ボーダーを超えた彼女の、ボーダーを超えることができるのか?的、ラブストーリー。
 それにしてもこの「アッチ方面」のテーマ。今っぽいわぁ。こういう作品って、星の数ほどあるマンガの中で頭ひとつ出るために、飛び道具的なネタで目立とう、という作戦で書かれているのかしら……と、うがった目で見てしまいました。
 いやべつに、飛び道具的ネタに反対なわけじゃない。けど、その「ネタ」が、読者の目を引くためだけに使われて、「蓋を開けてみたらフツーのラブストーリーでした」で終わったら、もったいないなあと思う。まあ、まだ1巻なんで。わかんないけど。
 チャーミングで芯の強い女の子の描き方が魅力的な渡辺ペコ。今回選んだテーマはかなり手強いものだと思いますが、ぜひこの物語じゃなくちゃたどり着けない場所へと、私たちを連れて行ってほしいと思います。
 (集英社 562円+税)=アリー・マントワネット
(共同通信)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アリー・マントワネットのプロフィル
 アリー・マントワネット 出版社でOLをしつつ、ライターとしても細々と稼働中。ファッション、アイドル、恋愛観など、女性にまつわる話題に興味あり。尊敬する人物は清水ミチコ。趣味はダイエット、特技はリバウンド。
(共同通信)

ボーダー 1 (ヤングジャンプコミックス)
渡辺 ペコ
集英社 (2013-04-23)
『ボーダー1』 渡辺ペコ著
アリー・マントワネット