中部農林高、「琉球庭園」で実習 王朝時代の技に触れる


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安田さん宅の琉球庭園を手入れする中部農林高の生徒たち=3日、うるま市田場

 【うるま】中部農林高校造園科の9人が3日、うるま市田場の安田千代子さん(96)宅の琉球庭園で、枝切りなど庭の手入れをする実習を行った。現存する琉球庭園は珍しく、実習は安田さん宅の庭園を知った同校卒業生の庭師古謝隆さん(55)が「ぜひ生徒たちにも見てほしい」と提案。日本造園組合連合会県支部理事の仲程路芳さん(67)も同行した。

 庭園は日本式回遊庭園。以前は水が張っていたという池の跡は砂を敷き詰めた「枯山水」になっており、周囲を本部石灰岩が囲む。
 組み合わせると魚に見える岩や亀の形をした「奇岩」、灯籠なども配置される。庭の外郭は黒木が植えられている。
 仲程さんは「日本式と中国風が融合した琉球庭園。琉球王朝時代の技術がいろんなところに使われている」と説明する。安田さんによると、庭は庭好きだった父のために昭和30年代初めに完成。当時から評判がよく、画家の山下清が写生に訪れたこともあるという。
 参加した島袋啓斗さん(17)は「石の配置や植栽から独特の世界観を感じた」と語った。
 安田さんのおい・邦登(くにたか)さん(77)は、「庭のよさを生かしつつ保存していきたい。地域の交流の場所にしたい」と話した。