『あのころ、映画があった 外国映画名作100本への心の旅』 立花珠樹著


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映画館は人生の学校
 人生にはさまざまな出会いがある。人との出会いだけではなく、素晴らしい本や映画との出会いも、人生のかけがえのない瞬間だ。いい映画や本に出会うとつい人に薦めたくなるのは、そんな奇跡のような瞬間を、少しでも多くの人に味わってもらいたいと思うからなのだろう。

 本書は同名タイトルの新聞連載コラムを、一冊にまとめたもの。最初に観た20代のときから、60歳を超えた現在に至るまで『気狂いピエロ』のジャンポール・ベルモンドに憧れ続けたという著者の、心を震わせた名作100本が紹介されている。紹介されている作品はどれも納得のラインアップ、これまで映画にあまり触れてこなかった初心者にもピッタリ、映画の楽しさが伝わる名作がたっぷり。年月を経ても世に受け継がれる続ける名作映画の色褪せない魅力が伝わってくる。
 自分だったらこの監督はどの作品を選ぶかなと考えてみたり、あらためて指摘される視点に唸らされたり、わかる!と共感したり。人の好きな映画の話って、人柄もにじみ出てくるようで、やっぱり面白い。個人的に、私自身も絶対マイベスト10には入れる『俺たちに明日はない』から本コラムがスタートしているのも嬉しい偶然。
 人を好きになるのと同じように映画に恋し、とにかく映画館で観て学んできたという映画少年は後に、「映画館は人生の学校だった」と語る。映画が教えてくれた人生の豊かさについて、夢中になって観てきた数々の作品がしっかりと証明してくれている。
 (言視舎 1600円+税)=江藤かんな
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江藤かんなのプロフィル
 えとう・かんな 1980年生まれ。書籍編集を経て、雑誌編集の道へ。女性の興味・関心ごとを探る日々。好きなものは、こけしとおかし、お寺と仏像、お笑い全般。得意ジャンルは、雑学、ブーム、ゴシップ系。くだらないこと(もの)、大歓迎!
(共同通信)

あのころ、映画があった
立花 珠樹
言視舎
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『あのころ、映画があった 外国映画名作100本への心の旅』 立花珠樹著
江藤 かんな