法廷映像の不使用要求 QAB映画 裁判所、制裁を示唆


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 米軍のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)建設に反対する東村高江の住民らを追った、琉球朝日放送(QAB)ドキュメンタリー番組「標的の村」の劇場版映画をめぐり、那覇地裁と福岡高裁が法廷内と裁判所敷地内の映像の使用は「目的外使用に当たる」とする見解を示して映像の不使用を求め、使用した場合には「何らかの対応をする」と、制裁ともとれる内容を伝えていたことが、26日までに分かった。

 裁判所側は琉球新報の取材に「見解は伝えたが、不使用の要請や制裁の意図はない。報道の自由を制限する意図は毛頭ない」としている。
 映像は許可を得て撮影したもので、テレビ番組で一審の映像を放送した際は裁判所からの指導はなかった。QABは映画で、一審判決と控訴審口頭弁論の代表撮影、国に訴えられた住民らが裁判所に入る映像を使おうとした。
 だが7月12日に那覇地裁から「そういうこと(映像使用)のないようにしていただきたい」と言われた。裁判所側は発言について「正確な表現は記憶していないが、映像使用を認めたとするわけにはいかない旨の発言はした。映画の内容に口を挟む趣旨ではなかった」と弁明している。
 QABは映像を使用した場合に「何らかの対応をする」と伝えられ、撮影申請を認められなくなるなどの制裁も想定したという。
 裁判所側は対応について話したことは認めながら「裁判所の見解を説明する必要があると考えた」として、制裁ではないとした。
 琉球新報が19日に、那覇地裁と福岡高裁に質問を出すと、裁判所側は23日になってQABに、映像の削除を求めてはおらず制裁の意図もないと説明してきた。使用した場合も「不利益な措置や制裁は取らない」と伝えてきたという。
 同訴訟の弁護団長を務めた池宮城紀夫弁護士は「裁判所が目的外かどうか線引きすること自体が規制となり、報道の自由への介入につながる」と批判した。
(沖田有吾)