前三盛(陸上・八種)悔しい4位 北部九州総体第4日


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男子八種競技 走り高跳びで2メートル02を成功させる前三盛敦貴(八重山)=31日、大分銀行ドーム(渡慶次哲三撮影)

 【北部九州総体取材班】2013年度全国高校総合体育大会「未来をつなぐ 北部九州総体」は第4日の31日、大分県など3県で競技を行い、県勢は5競技に出場した。

陸上で八種競技男子の前三盛敦貴(八重山)は5588点で4位、やり投げ女子の當間汐織(久米島)は予選で51メートル39を投げ通過、決勝は46メートル70で8位に入り、離島勢の活躍が目立った。男子400メートルリレーの那覇西(尚師尚宏、与那原良貴、金城祥冴、濱田三四郎)は準決勝で41秒37で出場組7位となり、決勝進出は果たせなかった。卓球はシングルス1回を行い、男子の比嘉秀成(普天間)、比嘉秀充(同)、女子の仲村久美(前原)、具志堅美希(同)が、それぞれ2回戦へ進出した。自転車は個人ロードで新城雄大(八重山農林)、成海大地(普天間)が途中棄権。第5日の1日、県勢は8競技に出場する。

◆前三盛/走り高「覚醒」2位浮上も
 夕暮れが迫り、ナイター照明に照らされた競技場。会場の視線は一点に注がれた。男子八種競技の7種目めの走り高跳びで、2メートル02に臨んだのは前三盛敦貴(八重山)だけ。3回目に成功させると、拍手と歓声を独り占めした。前三盛が昨秋に競技を始めてから、一番のハイライトとなった。
 30日の前半4種目を終えた時点で、首位と96点差の8位。この日は種目をこなすごとに順位を上げた。走り高跳びは1メートル93をクリアしたときに「覚醒した」といい、1メートル99、2メートル02を3回目で成功させる勝負強さで、総合2位に浮上した。
 最終種目の1500メートルが始まったのは午後8時前。走り高跳びで誰よりも脚を使った前三盛に、力は残っていなかった。優勝は、全種目で安定感を発揮した日本高校記録保持者の潮崎(兵庫・滝川第二)。前三盛が目指した3位以上は、するりと手の内からこぼれ落ちた。それでも「大嫌い」というこの種目で自己新。最後まで全力で戦い抜いた。
 最終結果を確認し「悔しいー」と声を上げた前三盛。競技歴1年足らず、わずか5戦目で全国4位まで上り詰めた潜在能力はまだまだ計り知れない。混成競技のうち八種は高校生の競技で、一般からは五輪などで実施される十種になるが「楽しみが増える」と言ってのけた。2日間、輝きを放った新星は、いつもの爽やかな笑顔で競技場を去った。(大城周子)