オスプレイ、本土訓練 本格化へ


社会
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 米海兵隊が岩国基地に搬入した新型輸送機オスプレイの普天間飛行場への移動を3日開始することを伝えた。5日にも普天間への追加配備を完了。老朽化したCH46中型輸送ヘリコプターからの機種更新を終え、昨年10月配備の12機と合わせた24機態勢での本格運用に入る。

防衛省は追加配備が終われば県外訓練移転の協議を加速させる方針で、本土でもオスプレイの訓練が本格化する可能性が出てきている。
 米軍は東北から沖縄の6ルートで年間約330回の低空飛行訓練を計画。訓練の際の経由地は西日本では岩国、東日本ではキャンプ富士(静岡県)、厚木基地(神奈川県)とみられる。3月からは和歌山県から四国にかけて設定した「オレンジルート」にある愛媛県と高知県上空で低空や夜間の飛行訓練を始めた。しかし本土での訓練はまだ一部にとどまっている。
 防衛省幹部は「最初の12機は沖縄での訓練に慣れることをまずは優先している。追加配備で本土での訓練を増やしていくのではないか」と分析する。
 防衛省は県内で実施されている訓練の一部を本土に移転する作業を進めており、秋に予定される日米安全保障協議委員会(2プラス2)で方向性を示したい考え。移転候補先には自衛隊基地がある九州、北海道や静岡県のキャンプ富士が挙がっている。
 オスプレイについて防衛省は「わが国の安全保障上、大変重要な意味がある」と強調。空軍仕様のCV22オスプレイの配備先には嘉手納基地ほか東京の横田基地が急浮上し、今秋実施を目指す日米合同の防災実動訓練での使用案もあるなど、日米同盟の「象徴」としたい動きを見せる。
 だが横田配備について基地周辺市町村でつくる対策連絡会は撤回を要求。沖縄からの訓練移転についても各地の自治体から「新たな負担が生じる」と反発の声が上がる。
 米軍がオスプレイの本格運用を全国に拡大しようとする中、日本政府は沖縄だけでなく本土各地の自治体などとの対応でも厳しい局面を迎えそうだ。(問山栄恵)