興南、ハンドV 光る個人技 接戦制す 北部九州総体第8日


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 【北部九州総体取材班】2013年度全国高校総体は第8日の4日、大分県など4県で行い、県勢は11競技に出場した。ハンドボールで男子興南は27-26で愛知(愛知)を破って4年ぶり5度目の優勝を果たした。

カヌーのカナディアンフォア200メートルで沖水(大仲雅人、大城就一、仲宗根脩真、末吉集人)が県勢初の頂点に立った。大城・仲宗根組は同ペア200メートルを制し、500メートルと合わせ、2年連続で2種目制覇した。重量挙げ69キロ級では宮本昌典(沖縄工)がトータル253キロで準優勝、大城翔吾(南部工)は249キロを挙げ3位に入った。なぎなた団体試合で知念は準決勝敗退。ボクシングは2階級で準々決勝に進出した。相撲の中部農林は決勝トーナメント2回戦で敗退し、8強入りはならなかった。バレーボールの男子西原は予選突破できなかった。ソフトテニス男子の名護は1回戦で敗退した。第9日の5日、県勢は5競技に出場する。

<ハンド・興南>
◆残り5分 貴重な2点
 「ヨッシャ!」。死闘の末の決着に、興南が喜びを爆発させた。興南が堅い守備と高い個人技で得点を重ね最大9点差まで突き放したが、愛知(愛知)が速いパス回しからのカットインシュートなどで連続得点。主導権を奪われ、後半の終了5分前には25―25の同点まで追い上げられた。だが、エースの屋比久浩之、2年の伊舎堂博武らの得点で1点差で振り切り、念願の全国制覇を果たした。総体では5度目、選抜選手権大会を含めると10度目の全国制覇。
 前半、立ち上がりはやや動きが硬かったが、得意とする高い位置でのディフェンスが機能。愛知が強引にサイドシュートなどに持ち込むが、183センチのゴールキーパー(GK)の山川大貴が好セーブを連発し、田里亮稀らがロングシュートなどで得点を重ねた。だが、前半の終盤、パスミスから愛知の速攻を許すなどして連続4失点。18―13と5点差まで詰められる。
 後半は愛知ペース。早いボール回しで興南の守備陣形を崩しにかかり、カットイン、ミドルシュートなどで点差を詰められ、残り5分で同点。追い詰められ、シュートを単発気味に放つなど攻めあぐねていた興南だったが、25分に屋比久が強烈なサイドシュート、26分に伊舎堂がロングシュートをたたき込み、意地で愛知をねじ伏せた。(松堂秀樹)

◆パス阻む堅い守備
 足を動かし続け高い守備位置が再び全国を制した。1―2―3の陣形で、守備位置は味方陣営のゴールから11~13メートル。守備の要の東立拡が1枚目のディフェンスラインを敷き、ロングシュートやミドルシュートを簡単に打たせなかった。2枚目の比嘉栄透や宮城護らは愛知のパス回しにプレッシャーをかけ、パスコースを読んでカットしてそのまま速攻で得点。勝利の最大の鍵となった前半のリードを生んだ。
 象徴的だったのは前半15分。愛知がポストにボールをつなごうとした瞬間、先を読んだ主将の黒島誠がカット。黒島がそのまま速攻を仕掛け、倒れ込みながらゴールを奪った。独走状態の黒島だったが、宮城ら数人が駆け付けフォロー。足を止めないスタミナで守り抜き、全員で得点を狙いにいく「守って速攻」の興南カラーが光った。
 正ゴールキーパーの山川大貴と、2年の宮國央芽も好セーブを連発。高いディフェンスラインはサイドシュートを狙われやすいが、山川が何度もはじいた。「大貴さん、集中」とベンチから声を掛け続けた宮國は後半出場。味方守備陣の脇下を通ってきた鋭いブラインドシュートを止めるなど、チームを救った。
 愛知の川瀬秀一監督は「興南のディフェンスは高めで、独特のリズムがあった。やりにくかった」と脱帽した。(松堂秀樹)

<カヌー>沖水C4初V/500メートルの雪辱 監督に贈る
 4人乗りのカナディアンフォア200メートルで沖水が念願の頂点に立った。トップでゴールすると、全員が拳を突き上げ、歓喜の叫びを上げた。
 同500メートルで5位に終わった悔しさを胸に臨んだ今レース。末吉集人が「どこにも負けないロケットスタートが切れた」と振り返る好発進で前に出ると、息を合わせて全力でこぎ切った。
 先頭で引っ張った大仲雅人は「一つ一つ大事に、がむしゃらにこいだ」。
 大仲、末吉の後ろでこいだのが2人乗りのペアを制した仲宗根脩真と大城就一。共に苦しい練習を乗り越えてきた4人で、3年間の最後に、この種目を勝つため、世界選手権出場を取りやめて今大会を選んだ。
 決勝へ向け、朝の練習で500メートルのレースを反省して修正した。準決勝まで古いボートを借りるしかなかったが、この日は敗退したチームから新しい型を借りることができた。決勝の第4レーンは波の影響が少ない中央付近。好条件がそろっていた。
 「自分たちの全てを出し切った。このメンバーで勝ててうれしい」と仲宗根。大城も「勝つと決めていた。最高にうれしい」と口をそろえた。
 500メートルのレースがあった日は平良祐喜監督の36歳の誕生日。その日贈ることができなかった優勝というプレゼントを渡した。大仲は「監督に最高のプレゼントを贈ることができた」と笑顔を見せた。(宮里努)

<カヌー>大城・仲宗根/王者の貫禄で圧倒
 「取って当然。負けるわけにいかない」。そう話していた仲宗根脩真と大城就一(沖水)。カナディアンペア(C2)200メートルで、1挺身以上の差をつけて圧勝した。同500メートルと合わせた2冠を2年連続で達成、史上2組目の快挙となった。
 距離が短い200メートルはスタートが重要になる。前でペース配分を考える仲宗根は「最初からマックスでいって王者の貫禄を見せ付けていきたかった」といい、出だしから全開でいった。
 200メートルを得意とする2人。「(スタートラインに)並んだ瞬間から負ける気がしなかった」と仲宗根。これまでレースで「滅多にない」という2位に2秒近い差をつけ、他ペアを寄せ付けなかった。大城は、2年連続の2冠を「正直言って意識してなかった。楽しんで全力でいこうと話していた」と振り返り、「レースで練習以上の力を出せた。最高のこぎができた」と胸を張った。
 3年生の2人は、国体がペアを組む最後のレースになる。仲宗根は体育大学に進学してカヌーを続け、大城は船員を目指して沖水の専攻課へ進む予定だ。
 「この2人は最高のペアだと思っている」と話す仲宗根は、次の目標について「最後となる国体で自分たちのレースをしたい」。大城は「記憶に残るレースをして締めくくりたい」と話し、次戦も勝利で飾ることを誓った。(宮里努)

後半12分、ポストシュートで得点を奪う伊舎堂博武=4日、佐賀県神埼中央公園体育館(渡慶次哲三撮影)
守備でプレッシャーをかける東立拡(右)=4日、佐賀県神埼中央公園体育館
カナディアンフォア200メートル決勝 1着でゴールしガッツポーズを決める沖水の(左から)大仲雅人、末吉集人、仲宗根脩真、大城就一=4日、大分県豊後高田市の真玉カヌー場(金良孝矢撮影)
カヌーのカナディアンペア200メートルで、力強いこぎを見せる(左から)仲宗根脩真と大城就一=4日、大分県豊後高田市真玉カヌー場(金良孝矢撮影)