政府、沈静化に躍起 米軍ヘリ墜落

ヘリ墜落現場付近で行われる米軍の消火活動=5日午後6時すぎ、宜野座村のキャンプ・ハンセン

「最悪のタイミング」/オスプレイに影響必至
 米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの追加配備問題で揺れる中、キャンプ・ハンセンで5日、嘉手納基地所属のHH60救難ヘリが墜落、炎上した。政府内では追加配備や普天間飛行場の移設問題への影響懸念から、「最悪のタイミング」などと動揺の色は隠せず、事態の沈静化を急ぐような姿勢が目立つ。一方、墜落の知らせを受けた県内市町村長らは「またか」とオスプレイの追加配備が進む中での発生にあきれると同時に、両政府への怒りや不信を一層増幅させている。県は緊急会議を開き、対応を協議した。

■「まずいことに」
 「まずいことになった。最悪だ」。事故の一報を受けた防衛省幹部はこう述べて表情を曇らせた。オスプレイ追加配備など米軍基地の運用や、普天間移設問題への影響を強く懸念したからにほかならない。
 墜落事故を受け、菅義偉官房長官は外務、防衛両省に対し、米側に原因究明と再発防止策を求めるよう指示。岸田文雄外相はルース米大使と電話会談を行うなど素早い対応を見せた。
 一方で、県民への被害が確認されず、米軍基地内で発生したことで、事故の矮小(わいしょう)化を図る思惑も透ける。
 小野寺五典防衛相は事故への遺憾の意を表明しつつ、繰り返し口に付いて出てきたのは「乗員の方の無事をまずはお祈りしたい」との言葉だった。基地が集中する沖縄で繰り返される航空機事故という重大さよりも米軍への配慮が先ににじんだ。

■怒りは頂点に
 普天間飛行場ゲート前でオスプレイ追加配備に反対する抗議集会中に、事故の一報が入ると、県議らは絶句した。参加した市民からは「いいかげんにしろ」と怒りの声が次々上がった。
 午前中に喜納昌春県議会議長が各会派代表を招集して、追加配備に抗議する緊急声明を出したばかり。議長の呼び掛けで集結した野党議員らは追加配備と関連させて怒りを爆発させ、「追加配備は絶対に許さない」「全訓練を中止すべきだ」とトーンを強めた。

■追及姿勢を鮮明
 ヘリが墜落した午後4時ごろから、宜野湾市では県と市町村による県軍用地転用促進・基地問題協議会(会長・仲井真弘多知事)の総会が開かれていた。
 会合の終盤、県の又吉進知事公室長が「ヘリが墜落したもようだ。情報を確認している」と報告すると雰囲気が一変。首長らは「またか」とため息を漏らし、顔をゆがめた。総会終了後、県職員らは対応に追われ、テレビ映像を食い入るように見詰めていた。
 又吉公室長はオスプレイ配備強行と関連し「傷口に塩を塗り込まれるような感じだ」と批判を強めたが、現場に向かった職員は日米地位協定の規定に基づき、基地内に立ち入ることはできず。消火活動をするヘリの様子を遠巻きに見守り、歯がゆさがにじんだ。
 「いつものように申し入れて終わりということはしない」。県庁での対応協議後、又吉氏は米軍や政府を追及していく決意を込めたように語り、足早に県庁を後にした。
(宮城久緒、池田哲平、問山栄恵)