屋良(南部工)が頂点 北部九州総体第10日


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重量挙げ94キロ級 スナッチで大会新記録と県高校新記録の136キロを挙げる屋良一郎(南部工)=6日、長崎県立諫早農業高校

 【北部九州総体取材班】2013年度全国高校総体は第10日の6日、佐賀県など4県で行い、県勢は5競技に出場した。重量挙げ94キロ級の屋良一郎(南部工)はトータル276キロ(スナッチ136キロ=大会新、県高新、ジャーク140キロ)で優勝、105キロ超級の知念光亮(豊見城)は334キロ(154キロ、180キロ)とスナッチ、ジャーク、トータル全てで従来の大会記録を上回ったが、準優勝だった。

豊見城は学校対抗で5年ぶり4度目の優勝を果たした。ボクシングはバンタム級準決勝で上原大尊(沖水)が判定負けした。レスリングは55キロ級の大城一晟(浦添工)が準決勝で敗れた。テニスは女子シングルスでリュー理沙マリー(沖尚)が4回戦進出で16強入りしたが、競り負けた。フェンシングは学校対抗の女子1回戦で宜野座が敗れた。第11日の7日、県勢は6競技に出場する。

◆屋良(94キロ級)別次元の差し/重量挙げ
 94キロ級のスナッチが始まって1時間余り。他の選手が試技を終えた後、“絶対王者”は風格たっぷりに登場した。屋良一郎(南部工)は最初に110キロを挙げてスナッチの優勝を決めると、後は記録に集中。一気に大会新記録の136キロに増量して3回目に成功させ、会場のあちこちで「すごい」と声が上がった。
 トータルで2位以下に35キロもの差をつけ、一人別次元の試技を披露した屋良だが、本人は納得していない。本当はスナッチで日本高校新記録となる139キロ、ジャークは175キロを挙げ、トータルで日高新を狙うつもりだった。だが、計3度の失敗で、思うような展開に持ち込めなかった。特にジャークは右太ももの付け根に痛みが走ったといい、自己ベストを30キロ以上も下回る記録に終わった。
 試合後、「この舞台で優勝する重みはよく分かっているのでうれしい。でも、心残りもある」と語った屋良。国体や全日本ジュニア選手権で「日本高校新を狙う」と、視線は既に前を見据えていた。
 競技を始めた中学2年から身長は10センチ伸び、体重は35キロ増えた。国際試合の経験を重ね、常に世界レベルを意識する。親子鷹(だか)で指導する南部工の屋良博之監督は「早い段階で強い選手を見ていることが、これから伸びる要素になる」といい、息子は「記録を出して父に恩返ししたい」と誓う。(大城周子)