ごまかしの「延期」 オスプレイ追加配備再開


社会
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米軍普天間飛行場に追加配備された垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ=12日午前10時30分ごろ、宜野湾市(山城博明撮影)

移動時期、日米で探る/県「何の配慮か分からない」
 5日に起きた米軍のHH救難60ヘリ墜落を受け、一時中止していた米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの追加配備が12日再開され、9機が普天間飛行場に着陸した。政府は、ヘリ墜落事故の発生当初は、追加配備の延期を米軍側に要請するなど、沖縄側への配慮をにじませていたが結局、配備再開の時期は米側に委ねた形だ。政府は「ヘリ事故とオスプレイ配備は別問題だ」として、追加配備に反対する県民の反発を和らげていく構えだ。しかし、県や県議会には追加配備を容認した国の姿勢に憤りの声が上がっており、ヘリ事故とオスプレイ配備を関連付け、米軍機全体の危険性への懸念も渦巻いている。

■「米側は考慮した」
 「オスプレイ配備とHH60の事故とは別物だ」。
 防衛省幹部はオスプレイの配備延期は政治的な要請によるものだと強調した。当初、「オスプレイとは直接関係ない」との見方を示していた日本政府だが、高まる県民の反基地感情に配慮し、移動を見合わせるよう米側に要請した。
 ただ、配備開始の時期や条件については歯切れが悪かった。小野寺氏は記者団に「私どもが期間の話をすることではない。一定の期間を米側が考慮する」と米軍に判断を委ねる姿勢を強調した。
 政府内や自民党内からは「米側は1週間も見合わせている。十分配慮している」との声や「延期が長ければ、再開するのに条件が高くなり、かえって難しくなる」と懸念の声も上がり、当初から日米間で配備再開の時期を探っていた。

■配備で増す懸念
 「どんなに安全確認、再発防止策をとっても墜落事故は続いている。これをどう思うのか」。
 オスプレイの追加配備のさなかに起きた米軍ヘリの墜落。沖縄防衛局を訪れた県議団からは米軍機全体への懸念の声が次々に上がった。応対した武田博史局長は「再発防止に向けて努力する。米側にも繰り返し申し入れる」と繰り返すのが精一杯だった。
 県幹部の1人は、今回の配備延期要請で政府がにじませた“沖縄側への配慮”について「オスプレイ配備反対が大前提であり、延期は感謝もしないし、そもそも何の配慮かもよく分からなかった」と語り、政府への不信感をあらわにした。
 又吉進知事公室長はヘリ事故とオスプレイ追加配備を関連付けて、「政府が言うように、仮にいくら安全な航空機でも、沖縄の基地負担は絶対量が多く、事故の危険性は高くなる」と指摘し、今回のオスプレイ追加配備で県民の負担と事故の危険性が増大するとの見方を示した。
(池田哲平、問山栄恵、村上和陽)