新証言掘り起こしへ 八重山戦争マラリア


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戦争マラリアの取材、集録事業への協力を呼び掛ける玉城功一会長(右)=7日、石垣市の官公労共済会八重山会館

 【八重山】八重山戦争マラリアを語り継ぐ会(玉城功一会長)は戦後70年となる2015年に向け、戦争マラリア体験者への取材、集録事業を始める。戦争体験の風化や歴史修正主義の台頭を憂い、戦争マラリアを語り継ぐことで平和の尊さを訴える。

 取材はこれまで証言していなかった人々を中心に実施し、新たな証言の掘り起こしを目指す。会員の親族や知人らから対象者を捜し、取材したり手記の執筆を依頼したりして体験談を集める。今月から取り組みを始め、14年12月をめどに終える。
 取材で得た証言は映像や冊子にする予定。15年1~5月に編集を行う。
 戦争マラリアは沖縄戦末期に日本軍の命令などで住民がマラリア有病地への避難を余儀なくされ、3千人余りの人が死亡した悲劇を指す。体験談は「沖縄県史10巻」や県発行の証言集「悲しみを乗り越えて」などに集録されているが、まだ公に証言していない体験者が多いという。
 八重山戦争マラリアを語り継ぐ会は10年6月に結成され、朗読劇や紙芝居などで戦争マラリアの悲劇を語り継いできた。
 玉城会長は「戦争体験の風化と反動化の流れが強い状況において、戦争の実相を後世に伝えることは恒久平和を創造する上で重要な営みになる」と話し、協力を求めた。問い合わせは同会の宮良純一郎事務局長(電話)090(7453)1823。