伊江村・ナガラ原第三貝塚、炉跡14基が出土


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 【伊江】伊江村教育委員会は28日、同村川平のナガラ原第三貝塚から縄文時代後期(約3千~4千年前)の住居跡と屋外で火を使った炉跡14基、先史時代(10世紀より前)とみられる人骨3体を含む多数の出土品が見つかったと発表した。

多数の炉跡がまとまって見つかる例は「類例がなく画期的な成果」(盛本勲・県教育庁文化財課記念物班長)という。縄文期の人は狩猟・採集のため半定住生活だったと考えられているが、多数の炉跡と複数の出土品は大規模な定住地があった可能性を示唆している。
 村内で過去に竪穴住居跡は見つかっているが、縄文期の定住地だった可能性を示す遺構はなかった。貝塚は伊江島のほぼ中央南端。地表から2~3メートル下に住居跡があり、周辺と東に炉跡があった。人骨は住居跡の南、埋葬場所とみられる石組み遺構内にあった。人骨の年代は特定できていないが、地層から先史時代と推定されている。2体は大人で1体は子どもだった。
 弥生、縄文期の土器複数や貝を使った装飾品、海洋性哺乳類の骨で作ったかんざし状の装飾品も見つかった。用途不明だが、壊れやすいパイプウニのとげに細かな文様を施した物もある。
 担当する伊江村教委の玉栄飛道(たかみち)主事は「ここで長期間生活した可能性がある。同時代の遺跡に比べ石器より貝製品が多い印象があり、海に面した場所、または離島独自の生活の特徴があるのではないか」と話した。
 伊江村教委は9月6~8日午後1~3時に住民らを対象に現場説明会を開く。

多数の炉跡が見つかったナガラ原第三貝塚。手前から人骨、一段下がった場所に炉跡、最下段に住居跡がある=28日、伊江村川平