山川勇さん、心の病から絵で再起 コザ中で特設授業


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自作を手に自身の体験を語り、生徒を激励した山川さん(右)と根間教諭=27日、コザ中学校

 【沖縄】心の病と向き合いながら、水性ペンを使った個性的な絵画を描く山川勇さん(48)=那覇市=が27日午後、沖縄市立コザ中学校(山里朗校長)で中学3年のクラスの特設授業を担当した。

教壇に立った山川さんは「出会いを大切にして、いろんな目標を持って頑張ってほしい」と生徒を激励した。
 県外で働いている時に体調を崩し、10年ほど前から沖縄で療養生活を送ってきた。昨年、ラジオ番組の絵画募集に自作が採用されたことがきっかけで創作活動に取り組むようになり、ことし5月には、おもろまちの自宅にギャラリー「山ちゃんの絵」を開設した。
 自作を手に、山川さんは冗談を交えながら闘病の苦労や創作の動機について説明した。「絵を描いている時は無心になれる。50歳を前にして自分の中で目標を持つことができ、自信も生まれた」と創作による自身の変化についても語った。
 自らの体験を踏まえ、目標を見つけることの大切さを説き「人生の中ではいいことも悪いこともある。若いうちは何でも挑戦することが大事。しかし、無理をしてはいけない」と来春卒業する生徒に助言した。
 山川さんの指導で生徒も水性ペンを使って絵を描いた。授業を受けた比嘉栞理(しおり)さん(15)は「もう立ち直れないというところから山川さんは頑張って元気を取り戻し、夢中になれることを探した。生きる力がすごいと思う」と話していた。
 コザ中教諭で山川さんの中学、高校時代の同級生の根間秀雄さん(49)のアイデアで特設授業が実現した。