女性活躍へ「補助員」活用 琉球大学、仕事と家庭両立支援


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 琉球大学は、女性研究者が仕事と家庭を両立できるよう「研究補助員配置制度」や相談体制を整え、支援を強化している。文部科学省の「女性研究者研究活動支援事業」を活用し、2012年から3年間の事業として取り組んでいる。

コーディネーターを務める琉大の「うない研究者支援センター」の高橋そよさんは「研究者が働きやすい環境を整えることで、優秀な人材の確保につなげることも目的の一つ」と語った。
 琉大の女性研究者(助教以上)の割合は13・4%で、全国86の国公立大学の中でも55位と低い。特に理工学系の女性研究者は一けた台だ。2015年には17%へ比率を伸ばすことを目標値として掲げている。
 女性研究者の裾野(すその)拡大のため、昨年11月琉大内に「うない研究者支援センター」が発足した。中でも親を介護中の研究者、また子育て中の女性研究者、さらに妻が研究者の男性研究者に「研究補助員」を配置する制度が注目を集めている。
 研究補助員は1人の研究者に月40時間まで認められており、現在育児での利用者が18人(男性5人、女性13人)、介護・看護のため利用している人が女性5人に上る。
 夫婦でこの制度を利用しているのが、琉大大学院医学研究科分子解剖学講座の准教授岡部明仁さん(42)と、特命助教の清水―岡部千草さん(42)だ。
 2人とも神経伝達物質「GABA」のメカニズムを研究しており、昨年4月に琉大に赴任した。小学2年生と3歳の子の子育て中で、昨年11月から週に2回、それぞれ1人研究補助員を活用している。
 岡部さんは「大学院生なのでゼロから説明する必要もなく、短時間で研究の効率がかなり上がり、とても助かっている」と話す。
 一方、研究補助員でマウスを扱う小林しおりさん(28)=琉大大学院理学部=は「私はイカのGABAの研究をしており、手法は似ている。自分の研究の意味や手法を考える機会にもなる」と語り、刺激を受けている。
 もう一人の研究補助員宮崎悠さん(27)=同=は「他学部の研究を知ることで視野が広がり、自分の研究にも生かせる。さらに定期的な収入が得られることもうれしい」と喜ぶ。
 清水さんは「補助事業終了後も継続して制度を維持しなければ、最終的な成果は計れないと思うが、その予算の確保が今後の課題ではないか」と話している。
 研究補助員配置制度は、全国の大学で導入されているが、県内では琉大が初めての取り組みとなる。
 (知花亜美)

「研究補助員配置制度」を活用している岡部明仁さん(後列右)と清水千草さん夫妻(同左)。研究補助員の宮崎悠さんと小林しおりさん=2日、西原町上原、琉球大学医学部