【島人の目】アメリカ大統領選


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 アメリカはことし、建国231年目を迎えるが、マイノリティーが大統領に選出されたことがない。過去に、ジェシー・ジャクソン師やその他の黒人が名乗りを上げたが、失敗に終わっている。また多くの国で女性の最高指導者が誕生しているのにアメリカではまだない。
 今回、民主党から立候補を宣言したニューヨーク州選出の上院議員ヒラリー・クリントン氏とイリノイ州選出の上院議員バラック・オバマ氏がこれまでの壁を破って、女性あるいは黒人の初の大統領誕生があるのか注目されている。
 オバマ氏はケニア出身の父とアメリカ白人の母との間でハワイで生まれた。人種は黒人に属する異色の政治家だ。一方のクリントン氏は弁護士からスタートして今日の基盤を築いた、ユダヤ系の血が混じっている白人の女性である。
 大統領になるにはナチュラルシティズン(アメリカで生を受けた市民権保持者)でなければならないという条件がある。
 むしろ、問題は別にあるように思う。「黒人が大統領になる土壌はまだできていない」とある黒人がコメントしていたが、民主主義の最先進国といわれるアメリカでさえまだ人種差別、偏見の壁がたちはだかっている。それを打ち破る力がオバマ氏にあるだろうか。若すぎる、政治経験が浅いなどの理由でオバマ氏の選出は難しいのではないかとの見方もある。
 ちまたの人々の意見を総合してみると「クリントン氏を大統領候補に、オバマ氏を副大統領候補に押していけば共和党に勝つ可能性がある」
 同じマイノリティーの一人として、今後の行方を見守っていきたい。
(当銘貞夫、米国通信員)