県が2012年度までにまとめた下地島空港の利活用案の実現へ向け、誘致活動を本格化させている。早期実現の可能性が最も高いのは航空会社の訓練誘致で、日本トランスオーシャン航空(那覇市)が操縦士の新規採用に伴い、来年秋に2カ月間の利用を検討するなど、具体的な交渉も浮上しているが、誘致が不調に終わればこれまでも議論があった宮古空港との一本化案が浮上する可能性もある。
下地島空港は1979年の開港以来、日本航空や全日空などが操縦士の実機訓練に利用。両社で年約3億円ずつ維持管理費を支払って訓練していたが、日航は経営破綻に伴い、10年5月に訓練を中止した。
現在の維持管理費約4億円のうち、約2億円を負担する全日空も14年度以降の訓練継続は白紙としており、空港存続へ新たな訓練誘致は急務となっている。
一方で県は宇宙開発利用や自家用機拠点などの残りの利用促進案については中長期的に取り組む考え。ただ15年には伊良部大橋開通により、伊良部島・下地島と宮古島が連結され、空港を取り巻く環境が大きく変わることから、宮古島の宮古空港を閉鎖し、その機能を3千メートル滑走路がある下地島空港に移す案があらためて浮上することも予想される。
県の當銘健一郎土木建築部長は「宮古空港は市街地の良い場所にあり、空港以外での利用可能性もないわけではない。15年度以降、一本化も含め検討する必要があるかもしれないが、いずれにしても地元の意向をよく踏まえて話し合いたい」と話す。
だが地元では一本化への反対が根強い。下地敏彦市長は「下地島に宮古空港を移すのは反対だ」と一本化案を強く否定。「空港に遠くなる地域が多く、住民の理解が得られない。下地島空港は島を二分した末に国策で造った。活用するのが当たり前だ」と、あくまで2空港の存続が前提との地元の立場を強調する。
10月上旬には県や市などの検討会議の第2回会合が開かれる予定で、議論の行方が注目される。(古堅一樹、知念征尚)