戦時の罪 償い今も うるま市の外間さん 自分史発刊


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
半生記を手に、戦争当時の「罪」に償いの気持ちを持ち続けるという外間朝久さん=12日、恩納村前兼久

 【うるま】日中戦争時に満州(中国東北部)で関東軍情報部に所属し、戦後は起業家として成功した外間朝久さん(90)=うるま市天願=がこのほど、生い立ちから現在までを振り返った「『わが半生』を語る」を自費出版した。満州の戦闘でソ連(当時)兵を殺害し「罪を償う思いをずっと持ち続けた」という外間さんは、70代で僧侶の資格を得た。自身の経験を基に「戦争は絶対にいけない」と次代へのメッセージを発している。

 志願兵として関東軍に入隊した外間さんは、ソ連・満州国境の戦闘で額を弾丸がかすめ、今も傷跡が残る。「小隊長として部下を率いての戦闘で人殺し。この罪を償うことをずっと持ち続けた」という。
 敗戦後、朝鮮から引き揚げる際は、幼少時に貧困で苦しんだ境遇から知り合いの貧しい朝鮮人にお金を分けたため日本へ帰る手助けを受けた。外間さんは当時を振り返り「困った人を助ければ、必ず自分にも返ってくる」と強調した。
 1995年に商売を息子に譲って京都の西本願寺で2年間修行した。僧侶としては「人生に行き詰まりはない。行き詰まるのは心だ」と説く。
 半生記では、幼少期や戦後復興期に始めた商売での成功談も収めた。古里の天願に伝わる綱引きや現在は埋め立てられた天願川の様子など生活史としても貴重な証言を盛り込んだ。
 外間さんから相談を受けた源河朝徳さん(71)=元高教組委員長=が二十数回にわたって聞き取った内容を文献と照合し、現地調査して編集した。本に関する問い合わせは源河さん(電話)090(9599)7370。