交付金見送り再協議
中部市町村会が、沖縄市中央に建設を予定していた「中部振興会館」(仮称)の計画見直しを決めた。財源に当て込んでいた沖縄振興一括交付金の交付要綱に、会館内に併設予定の事務所が抵触することが判明したからだ。
「振興」と直接の関連が薄い事務所部分への補助に内閣府が難色を示し、交付金活用を見送ったが、一部で着手から10年以上経ても進まない計画の内容を疑問視する声もある。
「一括交付金の活用には内容の精査が必要だ。計画が妥当なのか懸念する意見はあった」。活用見送りを決めた5日の会合後、中部市町村会会長の島袋俊夫うるま市長は淡々と語った。
◆特有の機能
新会館計画は老朽化した中部市町村会館(沖縄市上地)に代わる施設として2000年に持ち上がり、内閣府や防衛省の交付金活用が検討されてきた。基本構想は10年に決定。国際結婚が破綻した際の相談所など、多くの基地を抱える中部特有の生活課題の解決のほか、産業振興機能などを有する計画だった。
中部市町村会事務所の担当者は「事務所機能も振興機能も必要という認識は首長間で一致している」と話し、事務所機能に限定した現在の会館機能を拡充し、企業などの受け入れも可能な「振興会館」建設の必要性を訴える。
建設に活用する予定だったのは、広域事業などが対象の一括交付金特別枠だ。一括交付金の市町村分のうち、自治体が共同で取り組む事業や効果が広域に波及する事業などを対象に、本年度創設された。
◆ルール
だが申請過程で、県は事務所が要綱に抵触すると指摘。内閣府は事務所部分を交付金の対象から外すように県を通して伝達した。
県企画部は「計画を全て否定するわけではないが、ルールがある。会計検査のことを考えると対象から外すのがお互いのためだ」と話す。実施後に国の会計検査で使途を指摘されれば、交付金の返還対象にもなりかねないとの懸念も示す。
一部の首長からは入居や採算の見通しを疑問視する声や「事務所に特化した施設にし、市町村で費用分担してはどうか」といった意見も上がる。市町村会は計画を白紙に戻し、14年度以降に対応を決める方針だ。(慶田城七瀬、当間詩朗)