【島人の目】県系人も「祝!東京五輪」


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 9月7日の夜、シェラトン・ブエノスアイレス・ホテル&コンベンションセンターで東京都と東京五輪招致委員会による記者会見と祝賀会が行われていた場所で、日本からのテレビ局の取材サポートをした。

 にぎわいと祝賀一色に包まれていた雰囲気の中、猪瀬直樹東京都知事が「(7年後に東京で五輪を開催することで)私たちは『希望』を創り出して行きます。未来を担う子どもたちのために夢と希望を与え、被災地の復興をさらに加速させる。日本人が自信を取り戻し、新しい目標に進んで行ける」と述べた言葉が印象に残った。
 高円宮妃久子さま、安倍晋三首相をはじめ、前例のない数の約600人の日本のマスコミ関係者がブエノスアイレス市に集合した。
 今回東京が最終決戦まで勝ち抜いたことは、現地の最も国際的に評判の高い英字新聞「ブエノスアイレス・ヘラルド」が9月6日付で「IOC(国際オリンピック委員会)の会合は時間の浪費“東京”と“レスリング”の勝利がそれを立証」との見出しで次のように報じている。
 「3カ月ほど前、東京都が最高点で選ばれたことは既に皆の知るところだ。なのに三つの候補都市が彼らの得点を押し上げるために大規模な代表団を派遣したのはいったい、どういう訳か? 三つの候補都市がそれぞれ長所と短所を持っており、その意思はそれぞれの長所を強調するためであることは言うまでもない。だが、このようなことは時間と金の膨大な浪費であると見てよい」
 「レスリングは昨年、競技種目プログラムから取り除かれたが、今になってそれを復活させようとの動きが出てきた。レスリングはオリンピックが始まって以来からの競技種目の一つとあって、恐らく絶対に除外すべきではなかったと考えたのだろう。もし今になってそれを元に戻すとなればIOCはいろんな人々に金と時間を無駄に使わせるという高いコストを支払わせる大きな過失を犯したことになるだろう」(エリック・ウィール、スポーツ部)
 IOC総会の結果はヘラルド紙の予想通りとなった。
 その夜、現地日系社会は五輪東京開催を祝福した。約150人の県系人らが在亜沖縄県人連合会に駆け付けた。他の日系社会団体の人々や若者らが多く、明るい話題にうれしそうな表情がたくさん見られた。事務局宛てにお祝いのメールが殺到しているという。これまで応援活動を頑張ってこられた屋宜宣順会長をはじめ理事らは、ホッとした様子で遅くまで祝っていた。(大城リカルド、アルゼンチン通信員)