米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向けた国の公有水面埋め立て申請の可否判断をめぐり、仲井真弘多知事が「これまで申し上げた流れに沿った脈絡になる」との発言が波紋を広げている。県議会野党からは知事が承認しないとの見方がある一方、県庁内では発言に困惑する声も上がった。
仲井真知事は浦崎唯昭氏の質問に対して、政治的判断をする可能性を示唆し、埋め立ての可否判断に言及した。仲井真知事は6月定例会でも「政治的な判断は否定、排除されるものでもない」と発言していたが、可否判断の方向性について、従来よりも一歩踏み込んだ形だ。
質問した浦崎氏は「12月以降に最終判断すると言っている。現時点ではやるともやらないとも言っていない」との認識を示した。
一方、ある野党県議は「承認しないと受け止めている。浦崎氏の発言に答えたということは腹をくくってくれた」とし、知事が埋め立て申請を不許可とすることに期待感を示す。今回の発言を基に知事に不許可を促していく考えも述べた。
県庁内ではさまざまな見方が広がっている。県幹部の一人は「質問以上のことを答えている。なぜそこまで踏み込んだのか、どう解釈していいのか分からない」と困惑の表情を浮かべた。他の幹部は「質問者が与党で副議長の浦崎氏だったことから、一般論として言及したのではないか」と述べた。
又吉進知事公室長は「埋め立て申請は、許可にしても不許可にしても、あつれきが予想される。多くの県民が反対する中で、政治的な判断が加わるのは当然ではないか」と強調。その上で「可否判断はまだ実際にしていない。名護市長の意見も踏まえ冷静に判断していかなければならないことだ」と見通しを述べた。
公有水面埋立法の手続き上、必要となる名護市長の意見は11月下旬に提出される予定だ。年末から年明けとみられる知事の可否判断をめぐり、知事の一挙手一投足に注目が集まる。(池田哲平)