宮古で謎の人骨30体 風葬、津波被害者…臆測呼ぶ


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 【下地島=宮古島】宮古島市下地島の農地で、明和の大津波(1771年)で運ばれたとされる通称「津波岩」の下の岩穴から人骨約30体が見つかったことが、3日までに分かった。死亡時期は分かっていない。

宮古島署によると、骨の劣化が進んでいることなどから「事件性はない」としている。地元では「風葬した遺骨」との指摘や「大津波の被害者か」「沖縄戦による犠牲者ではないか」などと臆測を呼んでいる。
 7日にも市教育委員会の文化財担当者が現場を確認し、文化財として調査するか、無縁仏として追悼するかを検討する。
 市教委の文化財担当者は「これだけ多くの人骨が一度に見つかるのは、市内では珍しい。伊良部地域では古墓についてしっかりした調査が行われておらず、現場を確認し対応を検討したい」と語った。
 人骨が見つかったのは下地島空港の南側にある農地。昨年12月、市が農業振興のため県から買い取った。約5年前、同土地を整地した際に人骨を見つけたという住民から、ことし9月29日に情報提供があり、整備事業を担当する市伊良部農林水産室の職員が確認した。
 同室によると、頭部がきれいに残っているものが19体見つかった。また頭部が割れているものが5~10体あり、合わせて25~30体の人骨があるという。一部は頭部と他の部位が分けて置かれていた。
 市から連絡を受けた宮古島署が1日に調べた結果、事件性はないと判断した。無縁仏として市に引き渡し、現在は市の伊良部支所が保管している。
 最初に人骨を発見した宮国武雄さん(61)は「自分が見つける前から人骨があるとは聞いていたが、実際に見ると驚いた。成仏してほしい」と話した。
 市伊良部農林水産室によると、2003年ごろにも今回の発見現場近くで大量の人骨が見つかり、旧伊良部町が回収したという。(知念征尚)

人骨が見つかった岩穴=3日、宮古島市の下地島
岩穴から回収された人骨