浦添西海岸開発アセス再開 計画先行き不透明


社会
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市長態度が二転三転

 浦添市の松本哲治市長は、米軍牧港補給地区の沖合を埋め立てる西海岸開発計画で、事業を一時凍結している「第2ステージ」地区の環境影響評価(アセスメント)手続きを今月末までに再開する方針を固めた。「アセスを進めながら埋め立ての在り方を見直す」という意向に沿う形で手続きが進むと判断したからだ。だが対応が二転三転し、周囲を混乱させているほか、「公約違反」との批判も上がっており、先行きに不透明感も残る。

 松本市長は2月の市長選で埋め立て計画の「ゼロベースの見直し」を掲げ、政党の支援を受けずに初当選した。就任当初から「アセスを進めつつ計画を見直す」との姿勢を示してきたと説明する。
 ただ埋め立て計画は県、那覇市、浦添市でつくる那覇港管理組合が策定する港湾計画の一部をなしており、見直しには県などの理解が不可欠だ。8月中旬に管理組合が、アセス後も埋め立て計画を変更しないことを約束する文書の提出を求めたため、市長は態度を硬化。いったんは事業推進を表明したが、曲折の末、アセス凍結を表明した。
 凍結発表後の市議会9月定例会は、市長の態度変遷に質問が集中した。市長は最終的に「管理組合と信頼関係が構築できれば、再度協議できる」と再び態度を変えた。ある市議は「管理組合の譲歩を引き出す戦略だった」と解説する。
 今月1日には自民党の宮崎政久衆院議員を立会人に、市議18人で構成する議員連絡会議を結成。会見で「現行計画を踏まえてアセスを進める」と表明した。事業を推進しつつ、市内外の意見を集約して計画を見直す「以前の姿勢に戻った」とする。だが2月の市長選で多数の政党の推薦を受けた西原廣美氏を破り、無党派をPRしてきた松本市長が宮崎氏の仲介で、公明や保守系無所属の市議らと協力関係を結んだことで波紋はさらに広がった。
 一方、市長の言動について市民団体などは「公約違反」として追及する構えを見せる。「浦添のイノーを守る会」の大城信也事務局長は「(市長選で)ゼロベースの見直しを掲げたことで多くの市民が現行計画を断念すると解釈して投票した。埋め立てを進めることは裏切り行為だ」と厳しく指摘した。(梅田正覚)