【島人の目】東京の次はローマ五輪だ


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 イタリアでは私利私欲に狂ったべルルスコーニ元首相が、倒閣を画策して失敗するなど、相変わらずの政治不安が続いている。
 そんな折だが、先日の2020年東京オリンピック決定のうれしいニュースは、ここでも好感を持って伝えられた。そればかりではなく、東京開催が決定した直後からその次の24年のオリンピックをイタリアに招致しよう、という声まで上がり始めた。

 イタリアは06年にトリノ冬季五輪を開催したばかりだ。が、今度は規模の大きな夏季五輪を招致したくなったのだ。1964年、東京は60年のローマ大会に続いてオリンピックを開催した。今度はローマが東京に続こう、という訳だ。
 今回東京と招致合戦を繰り広げたマドリード・スペインと同様に、イタリアは深刻な財政危機に絡む不況のただ中にある。スペインがマドリードに五輪を呼び込んで、若者のための仕事を創出しようと企図したように、イタリアもオリンピックを景気回復の起爆剤にしようと考え出した。実はローマは、今回日本が勝ち取った20年五輪の招致を目指していた。しかし破産危機に直面しているイタリア政府が、大会の財政保証を拒否したために立候補を断念した。
 今現在の段階では、24年の五輪開催都市はパリが有力候補と言われている。「2024年パリ五輪」というのも良い響きだが、フランスはこの国ほど経済的には逼迫(ひっぱく)していない。だからひとつここはパリには辞退してもらい、24年五輪をローマで開催した方がいい、とイタリアファンの僕も考え始めている。
(仲宗根雅則、TVディレクター)