国家戦略特区に県応募 振興計画加速狙う 国の動向注視し攻勢


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 政府が特定の地域やプロジェクトを対象に大胆な規制緩和を行う全国公募の「国家戦略特区」に、県が三つのプロジェクトを提案した。背景には、国の経済政策と連動した取り組みを積極的に展開することで、県が自ら策定した沖縄振興計画「21世紀ビジョン」の目標実現を加速化させる狙いがある。

 仲井真弘多知事は、日ごろから国の補助メニューやプロジェクトなどに積極的に応募するよう、各部局にハッパを掛けている。振興計画の進展を確認した9月の沖縄振興推進委員会では「沖縄振興のみならず、国の動きをよく見てプロジェクトを作ったり削除したりしながら、リアルな計画にしていく考えを持ってほしい」と述べ、国の政策を意識しながら施策展開するよう求めた。
 知事の方針の下、県は予算編成に反映させる次年度の重点テーマを設定。4項目の1番目に「日本経済活性化の一翼を担うフロンティア創造」を掲げた。国の成長戦略に沖縄振興の総合的な推進が明記されたことを受け、国際的な観光地へのインフラ整備や、大学院大学を核とした拠点整備を強力に推進することで、日本経済のフロントランナーとなる環境づくりの加速化を図るとする。
 今回応募した「世界水準の観光リゾート地形成」での出入国審査の簡素化やビザ要件の緩和、外国人医師による医療行為の解禁などを求めた「沖縄科学技術大学院大学プロジェクト」にも、これらの方針が強く反映されている。
 一方、カジノを含む「統合リゾートの導入」は、県民の合意形成を前提とした制度提案にとどめたが、導入によって入域観光客数や観光収入が伸びたシンガポールの実績を示した。その上で「国際会議(MICE)誘致や投資促進に即する」と位置付けるなど、ニーズの高さを強調している。振興計画には導入検討の方向性も明記しており、提案によって促進を図る意図もうかがえる。
 政府は18日の日本経済再生本部の会合で「国家戦略特区」の具体策を決定し、2020年の東京五輪に向けた高層マンションの建築規制緩和や、「国際医療拠点」での外国人医師の診察拡大も打ち出した。
 臨時国会での関連法案提出後、年明けにかけて県の提案を含む62件から対象地域を決定する見込みだ。全体の応募197件からの絞り込みに残った県には「取りあえず門前払いはされなかった」と選定への期待感も広がっている。(慶田城七瀬)