米国防費削減 部隊は分散・細分化 在沖基地の必要性低下


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 米国防費の強制削減に対応するため、米海兵隊が個々の部隊の細分化と分散を進めている。在沖部隊についても、海兵隊の最大編成規模である海兵遠征軍(MEF)の傘下にある、海兵遠征旅団(MEB)に司令部を新設し、独立運用機能を高める計画だ。海兵隊配置計画担当のマッケンジー少将は「もう少しMEBの役割を強調したい」と述べる。

大規模戦争に対応するMEFより、小回りが利くMEBを重視する運用方針は、在沖海兵隊の大規模駐留や抑止力論にもあらためて疑問を投げ掛ける。
 日米両政府の昨年4月の在日米軍再編見直し合意では、在沖海兵隊約1万9千人は実戦部隊を中心にグアム、ハワイ、オーストラリア、米本土などに約9千人が移転、分散する。各移転先では組織単位として、危機に対応できる「海兵空陸任務部隊」(MAGTF)と呼ばれる編成にする。
 マッケンジー氏は緊縮財政に対する海兵隊の基本姿勢として「前方展開を続け、危機に対応する中量級の部隊」との方針を示す。2千~3千人程度で構成し、沖縄を含め世界に七つ配置する伝統的な最少編成規模の海兵遠征部隊(MEU)は「基本的に全て現体制を維持する」としている。
 一方で「新たな動向」として、MEUよりも小規模で政治的要因による危機や災害の対応に当たる特殊MAGTF部隊(500人程度)の配置を進めていくとも説明。将来的にこうした部隊を地上基地ではなく、海上に拠点を置く形で運用することも検討していると明らかにした。
 部隊の分散化や細分化は財政だけでなく、中国や北朝鮮のミサイル能力の向上により、地上基地が反復的なミサイル攻撃に対して構造的に弱くなってきた戦略的理由も背景にある。
 海兵隊はフィリピンへの巡回配備を目指し、現在米比両政府が詰めの交渉をしているほか、太平洋地域での新たな駐留先を探している。巡回配備と分散で沖縄駐留の必然性が薄れていく中、在沖基地の規模の大きさが相対的に分不相応なものになりつつある。
 (島袋良太本紙ワシントン特派員)