社会

【島人の目】コロンブスデー

 「America is discovered by Columbus.」
 英語のテキストにあり暗記させられた受け身の文型。1492年にアメリカ大陸がイタリア出身のコロンブスに発見されたのを記念し、アメリカは10月の第2月曜日をコロンブスデーとして祝日にした。

 だが、コロンブスは果たして米国人から称賛されるほどの功績を成したのか、そしてあがめられるほどの人物なのかを調べてみると全くそうではない真実に驚く。
 コロンブスが最初に到着した所はカリブ海のグャナハ二島だといわれている。これがアメリカ大陸発見の発端となっているが、コロンブス自身は北アメリカには上陸していない上にアメリカ大陸を最後までアジアだと誤認していた。
 ある文献は、アメリカ大陸には既に1万年以上前から先住民が住んでいたことが証明されたとし、それは「発見」ではなく「遭遇」であるとの見解が示されている。別の学説ではコロンブス以前にバイキングが到達したことが定説になっている。今日、コロンブスの功績は「大西洋航路の発見」のみとして結論付けられている。
 コロンブスの別の顔は「奴隷商人」と「征服者」。2度目の航海では植民目的で17隻の船に1500人を引き連れ、土地略奪のため先住民に対して無差別殺りくと弾圧を行った。コロンブスに同行したキリスト教の宣教師は「その大虐殺は残酷極まりないもので、ゲーム感覚だった」と日記に書き残している。さらにインディアンを奴隷として捕らえ、ヨーロッパへ強制連行した。
 最初の上陸のとき、コロンブス一行はインディアンに助けられたにもかかわらず、次には武力で征服し、数年の間にインディアンの人口は3分の1に減少した。そんな恩を仇(あだ)で返した犯罪者のコロンブスをアメリカはなぜ英雄扱いにするのか疑問である。現在、50州の中で祝日返上の賢明な判断をしたのは17州だけである。
 インディアンたちは、コロンブスデー、その日を「白人による侵略開始の日」として抗議活動を行っている。
(鈴木多美子、米バージニア通信員)