【島人の目】すてきなサプライズ


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 先日、友人の50歳サプライズ・パーティーに行った。県出身の彼女のためにうちなんちゅややまとんちゅの友人、親戚、そして職場の仲間のアメリカ人、ペルー人、インド人、中国人と、国際色豊かな友人たちが集まり彼女の出現を今かと待ち受けた。

 友人は30歳前半で突然、夫を亡くし、幼い一人娘のシングルマザーとなった。絵に描いたような幸福いっぱいの家庭で、不幸が似合わない妻であり母であった友人。現実を受け止めるのに大変な心の葛藤があり、乗り越えるのに長い歳月がかかった。しばらく一人で娘を育てていたが、幸いにも再婚し新たな人生を歩み始めた。娘は多感な年頃、荒れた時期が続く。だが何かを機に心を入れ替え、大学に進学し、友人を安心させた。そして結婚し一児の母となったその娘が母親のためにサプライズパーティーを企画したのだ。
 「サプライズ~」の声に、玄関に現れた友人は皆から祝福されて終始、喜色満面だった。「人生前向きな気持ち一つでどうにでもなる」と友人の笑顔を見てしみじみ思ったサプライズ・パーティーだった。
 もう一つのサプライズ。6月のある日、人生の先輩である友人の夫から「ワイフの80歳の誕生日にサプライズをさせたいので協力してほしい」との電話があった。友人は最初の結婚で沖縄の人との間に一人娘がいるが、両親に娘をアメリカに連れて行くことを反対され、娘を米国に連れて来ることができず、泣く泣く置いてきた。
 その娘をアメリカに呼びたいという夫のリクエストに話がトントン拍子に進み、沖縄に住む娘の一家3人も便乗することになり、初渡米の到着日は友人の誕生日になった。
 今の夫との間でできたアメリカに住む娘がワシントンDCまで4人を迎えに行き、友人宅に連れて来た時には既に夜になっていた。
 玄関に現れた娘たちを目の当たりにした友人は一瞬夢を見ていると思ったそうだが「誕生日おめでとう」の声に腰を抜かすほど驚いたとのこと。久しぶりの親子3代の再会。時間を惜しむほどに語り合い、娘たちも思い残すことなくアメリカを後にした。遊び心があり愛情たっぷりの友人の夫による粋な計らいに拍手喝采。感動ものだった。
(鈴木多美子、米バージニア通信員)