浦添市前田の旧日本軍陣地壕で、28日までに10体の遺骨が発見された。見つかった10柱中9柱には歯が残されており、DNAを採取できる可能性が高い。名前入りの遺品も発見され、カミソリには「クニヨシ」、三角定規には「荒木」と刻まれており、身元特定に期待がかかる。
遺骨収集ボランティアに取り組む高江洲善清(ぜんせい)さん(62)=那覇市=が発見した。高江洲さんは「まだ多くの遺骨が眠っているはずだ」と話している。
高江洲さんは地権者の許可を得て7月から壕を掘り始め、延べ71人の協力を得て遺骨収集に取り組んだ。いずれも遺骨の損傷は小さかった。壕内部は68年の歳月で、最大約180センチの土砂が堆積しており、内壁は石灰化が進んでいた。発掘した壕は年内に埋め戻す予定だ。
浦添市前田は沖縄戦最大の激戦地の一つ。前田を含む嘉数から首里までの戦線では日本兵の6割以上が戦死した。
高江洲さんは遺族に遺骨を返す時に発見当時の状況を説明できるように部位別の位置や状況を細かく記録している。「自分が(遺骨を)見つけなければ永久に土の中から出てこない。孫の時代には遺骨収集ボランティアという存在の必要がないような世の中になればいい」と語った。(長浜良起)
英文へ→10 sets of human remains unearthed in Japanese Army fortified shelter in Urasoe