【米ワシントン=島袋良太本紙特派員】米フロリダ州に住む退役軍人で、軍用犬看護師として沖縄に勤務経験のあるドン・シュナイダー氏(69)が31日までに琉球新報の取材に応じ、少なくとも1968年~69年にかけて、読谷村にあった軍用犬訓練場で猛毒ダイオキシン類を高濃度で含む枯れ葉剤が定期的に散布されていたことを証言した。
証言によると散布された液体は通常、同村の陸軍基地トリイ・ステーションでドラム缶に入れて保管されていた。ドラム缶には「エージェント・オレンジ」と呼ばれる種類の枯れ葉剤であることを示すオレンジのしま模様が入っており、これまで指摘されてきた沖縄での枯れ葉剤の貯蔵・使用の可能性が一層高まった。
さらに米国立がん研究センターの研究員らが行った調査で、68~73年に沖縄、ベトナム、米本土、その他アジア地域(日本本土、韓国、タイ)で死んだ米軍の軍用犬のうち、精巣腫瘍を患っていた割合は沖縄の軍用犬が最も高かったことが分かった。当時、米軍はベトナム戦争で枯れ葉剤を大量に散布したが、沖縄の数値は戦地ベトナムの2倍の水準に上った。報告書は精巣腫瘍の原因について、枯れ葉剤との接触を指摘している。
シュナイダー氏は「枯れ葉剤は軍用犬がハブにかまれることを防ぐ目的で、周辺の雑草を管理するために散布された」と話した。訓練場があった場所は現在、嘉手納弾薬庫内にある。
シュナイダー氏は枯れ葉剤と接触した人に典型的にみられる肝臓肥大を患っており、当時の日常的な軍用犬との接触が原因だとして、米政府に補償を申請している。一方、米政府は「沖縄で枯れ葉剤が貯蔵・使用された記録はない」として、補償を拒否している。