世代つなぐ鐘復活 時と地域の歴史刻む 国頭村浜


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新しく設置した架台に下げた鐘を打ち鳴らす島袋栄一区長(左)と大嶺正年さん=12月31日、国頭村浜区

 【国頭】時間や集会の合図を知らせるため、酸素ボンベを再利用した国頭村浜区(島袋栄一区長)の鐘が復活し、12月31日に区民らが除夜の鐘として鳴らした。浜出身で国頭鉄工所(同村奥間)を経営する大嶺正年さん(66)が架台を寄贈し、新たに公民館前に設置された。島袋区長は「鐘を通して村落の歴史も子どもたちに伝えたい」と復活を喜んでいる。

 浜区では終戦直後から米軍製のボンベを使った鐘が置かれ、子どもたちの登下校時をはじめ、正午の時報や代議員会開催、告別式、火災などの緊急時と幅広く使われてきた。
 現在の鐘は国内製の酸素ボンベを使ったものだが、行政無線が導入されてからは使う機会が減っていた。大嶺さんは鉄工の仕事を始めて昨年で50年の節目となり「古里に恩返しをしたい」と架台を作った。
 架台にはかつて漁業で栄えた浜区を象徴する波と魚、区民の長寿を願う風車が載せられている。柱には丸とひし形の穴が開いており、大嶺さんは「丸は区民融和を示す輪、ひし形は最も硬い鉱物のダイヤモンドをイメージし、区民の固い団結を表現した」という。
 島袋区長は「単なる鐘でなく子どもたちに興味を持ってもらい、集落の歴史を伝えることにも使いたい。区民一同とても喜んでいる」と大嶺さんの厚意に感謝した。