県系人の息吹伝える 本紙海外通信員ことしの抱負


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 海外で活躍するウチナーンチュの話題や、諸外国の驚きをシマンチュの目で伝えている琉球新報海外通信員。次世代へのウチナーネットワークの継承が大きな課題となっている中、各地のウチナー社会の“息吹”を記事や写真に乗せている。ことしの抱負や決意を寄せてもらった。

<ドイツ>外間久美子/若い人の力届ける
 感謝の気持ちを込めてドイツでお世話になった方たち全員を還暦祝いに招待したら、なんと年の数ほどの大パーティーになってしまった。これだけたくさんの方々に助けられて今の私があると思うと昨年は感慨深い大きな節目の年だった。
 そして新しい年は、私も誰かのためにその一員でありたいと思う。そして、沖縄の皆さんのために、私ができることは何かを模索していきたい。
 沖縄県人会は若人にバトンタッチされ、その力あふれる会へと動き始めた。その様子を若い新ドイツ通信員の田中由希香さんと共にお知らせしたい。皆さまのご健康とご多幸をお祈りします。

<ドイツ>田中由希香/育児の違い記事に
 沖縄からドイツに来て2年が過ぎ、地域や友人らの支えに感謝する日々を送っている。
 以前、編集局と販売局で働いた琉球新報社で、このたび、沖縄とドイツのつながりをお伝えするチャンスをいただいた。
 世界は広く、力強く生きるウチナーンチュはたくさんいる。特に沖縄の子どもや若い学生の可能性を伸ばし、広げられるような視点で記事を書いていきたい。ドイツからドキドキするような夢、希望などを感じてもらえるよう頑張りたい。
 また、1歳の子を持つ母として、育児についても沖縄との違いなどを取材したいと思う。

<イタリア>仲宗根雅則/国の活性化見守る
 昨年暮れ、イタリア最大政党の民主党党首に38歳のマッテオ・レンツィ氏が選ばれた。フィレンツェ市長を経て民主党のトップになった同氏は、昨年の年初の政局混乱時も首相候補と目された。
 ベルルスコーニ元首相(77)に代表される老人がのさばるイタリア政界にとっては、若きレンツィ氏は希望の星だ。
 イタリアの財政危機は一向に収まらない。大不況の中、若者の失業率は40%を超えている。周囲を見渡したとき、若者のほぼ2人に1人が無職という現実は非常に重苦しく暗い。若い政治家が大いに活躍してこの国を活性化させてほしいと切に願う僕はことし1年、レンツィ氏を注意深く見守り続けようと思う。

<イギリス>森田恵美子/わした島アピール
 今、ロンドンの地下鉄では花がさの衣装をまとった少女や、眼光鋭い空手家の勇壮な姿の写真が印象的な「Be OKINAWA」というキャンペーン広告が見られる。
 観光客誘致に向けた広告は多く、どれも景観の美しさをアピールするものが主だが、今回の広告は景色の美しさに加え、文化をメーンにしたインパクトのあるもので好評だ。
 県人会、ロンドン沖縄三線会とも多忙で、特に三線会はイベントでは引っ張りだこだ。会員も増え、草の根的に活動を重ねていったことが実を結んだと思われ、頭が下がる。
 ことしはさらに「わした島」をアピールしたい。6月のオキナワデー、沖縄映画上映会などめじろ押しの英国にご注目ください。

<ワシントンDC>鈴木多美子/大国の裏側に焦点
 ことしは年女。地を蹴って鼻息荒く駆けてみたい願望もあるが…。通信員としては、日ごろから疑問に思っているアメリカの知られざる側面や歴史の裏側に焦点を当て、この大国の在り方を勉強してみたいと思う。また、沖縄周辺はきな臭くなり、辺野古への新基地建設が現実のものとなりつつある状況を憂う中、沖縄にゆかりのあるアメリカ人たちの率直な意見が聞けたらと考えている。
 各地の県人会を訪ねてみると1世たちがまだまだ頑張っているが、ワシントンDC沖縄会はピクニックなど各イベントに参加する2世たちや3世たちの若者の姿も目立つ。そんな各地の県人会便りと昨年に引き続き1世たちの母としての奮闘ぶりや2世、3世たちの活躍ぶりも紹介していきたい。

<ロサンゼルス>当銘貞夫/私のライフワーク
 15年間続いた北米沖縄県人会理事を辞退し、ことしからアドバイザーになった。南加県人会協議会会長の大役を遂行するためだ。移住地アメリカといえど南カリフォルニアの同協議会は全国的存在。その会長に選出され、就任は2月からだが準備のため多忙を極めた。
 120人の理事、10人の副会長の人事などの責務が山積した。ことしは同協議会の創立50周年記念祝賀会も開催されるので、それも大きな課題の一つだ。
 私の記事は、ロサンゼルス地域に住むウチナーンチュの信賞必罰ではなく、あまり目立たないウチナーンチュのユーモラスな一面とか、アメリカ社会で羽ばたき、大きく成長した若者の話題などが主だ。
 どんなに多忙になろうとも通信員としての活動は続けたい。それが私のライフ・ワークなので。

<中国>小谷良太/日中結ぶ懸け橋に
 昨今の日中関係は、ご存じの通り尖閣諸島問題があり、ぎくしゃくした、非常に良くない関係となっている。
 また報道でも報じられている通り中国では年々、大気汚染が深刻化し中国を毛嫌いする日本人が多くなってきているように思われる。しかしわれわれ日本人にとって、また沖縄県民にとっても中国ははるか昔からなくてはならない大切な関係にある。特に大気汚染の問題では、単に毛嫌いするだけではなく、この問題を通じて尖閣諸島問題などの関係改善が図れるよう前向きに取り組む必要があるのではないかと感じている。
 私はことし、中国に来て9年目、中国で独立して4年目となる正念場の年。仕事は内装、広告のデザインに携わっており、尖閣問題以降は影響が出た面もあったが、徐々に日本関係のイベントも持ち直しつつある。
 ことしは本職を生かしながら、沖縄と中国を結び付けられるような活動を通じて、日中の懸け橋として日本と中国のより良い関係のためにも一層努力していきたい。

<シンガポール>遠山光一郎/新しい出会い期待
 アジアでは成長が激しく、本当に慌ただしく1年が過ぎていく。アジア各地を回り、それぞれの国のウチナーンチュと話をすると本当に若い方々が増えたと感じる。今後は南米などのように現地をベースに活動していくウチナーンチュが多くなると実感している。現地に融合していくウチナーンチュたちの適応性も注目していきたい。
 またウチナーンチュに限らず、沖縄の可能性を感じてアジアと沖縄をつなげる役割を担える現地の方々もリポートできればと考えている。この1年、どんなウチナーンチュに出会えるか楽しみだ。

<フランス>大城洋子/「継続は力」で活動
 昨年は私にとって大きな転機の年だった。というのも40歳にして初めて人の親になれたのだ。
 なのでことしは母親1年生として育児に奔走する日々で、県人会活動なども控えめに参加することになりそうだが「継続は力なり」。三線会などの活動も中断することなく、少しずつであっても関わっていけるように努力していきたいと思う。

<ドイツ>外間久美子
<ドイツ>田中 由希香
<イタリア>仲宗根 雅則
<イギリス>森田 恵美子
<ワシントンDC>鈴木 多美子
<ロサンゼルス>当銘 貞夫
<中国>小谷 良太
<シンガポール>遠山 光一郎
<フランス>大城 洋子