仲井真弘多知事による米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立て承認をめぐり、県議会(喜納昌春議長)の臨時会は10日夜、県外移設を求めてきた公約に違反したとして、仲井真知事の辞任を求める抗議決議を野党4会派と中立系会派のそうぞうの賛成多数で可決した。県議会で知事への辞任要求決議が可決されたのは復帰後初めて。
決議自体に法的拘束力はないが、埋め立て申請を承認した仲井真知事の責任が厳しく問われた形で、今後の県政運営への影響は必至だ。
決議は、野党21人とそうぞうの3人の計24人が賛成し、与党の自民14人、公明県民無所属5人、無所属2人は反対した。
決議書は知事が政府の埋め立て申請を承認したことは「選挙で『県外移設』を掲げた政治家としての公約違反だ」と指摘した。その上で「県外移設の公約を変えていない」との説明を繰り返している知事の姿勢に対して、「開き直る態度は不誠実の極みで、県民への冒涜(ぼうとく)というほかない」と断じた。
知事が県議会12月定例会の開会中に上京し、12月17日の沖縄政策協議会で安倍晋三首相に要望書を提出したことについては、「県議会に何ら説明を行わないまま『承認の4条件』と称される要請を唐突に行うなど、その手続きは議会軽視であり、許されない」とし、知事の議会対応も批判した。
県内移設反対を全会一致で求めてきた県議会の決議を「決定的に踏みにじるものだ」としている。
決議は辺野古移設の是非などについては触れていないが、県議会は知事への決議案の採決に先立ち、野党側が提出した普天間飛行場の閉鎖・撤去と辺野古移設断念を求める意見書を、野党4会派に加えて公明の賛成で可決した。
一方、自民が提出した普天間飛行場の一日も早い返還と危険性除去を求める意見書は、県内移設に反対していないとして野党が反発し、否決された。
辞任要求決議に対し仲井真弘多知事は10日、「私の判断は何ら公約に違反するものではない。決議の可決は極めて遺憾だ」との談話を発表した。その上で「基地負担軽減や沖縄振興の公約実現にまい進する」として、12月までの任期を全うする意向を示した。