【島人の目】日本のイルカ漁


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 和歌山県太地町のイルカ追い込み漁に国際的な批判が高まっている。周知のように騒ぎは、ケネディ駐日大使が「米政府はイルカ追い込み漁の非人道性を懸念し、それに反対する」とツイートしたことに始まる。ここイタリアでも、捕鯨と並ぶ日本の奇怪な風習というニュアンスでメディアが大きく伝えた。多様性を何よりも大切にするイタリアでは、親日的な国民性も相まって、例えば英語圏の国々のように日本のあれこれを一方的に否定・非難することはあまりない。それでも鯨漁とイルカ漁に関しては、残念ながら肯定的な見方をする人は極めて少ない。

 僕は個人的には捕鯨もイルカ漁も反対である。なぜならそれは世界の中で、日本の評判を落とすだけの奇妙ななりわいに見えるからだ。海洋哺乳類を捕獲する日本の伝統文化は、残念ながら時代の変化とともに伝統ではなく、グローバル社会の中の因習、あるいは悪習とさえ見なされる類いのものになってしまった。
 そうした変遷は、時代が進んで日本が国際社会の中に投げ出された時点で必然的に起こった。世界各国の伝統や文化の中にも時代変化の波にさらされて、同様な事態に陥ったものが数多くある。
 社会も人間も移り変わり進歩していく。イルカ漁を間違ったこと、かつおぞましいこと、と見なす今現在の世界の風潮は、ある人々にとってはたぶん不平等感を伴う理不尽な変化に違いない。それでも殺りくを否定的に捉える分、その見方はきっと人類の進歩なのである。
(仲宗根雅則、TVディレクター)