「てっぷー先生」に恩返し 教え子ら写真展企画


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「生徒の教材を作るために写真の撮影が始まったと思う」と語る友利哲夫写真展実行委員会の岸本明さん=西原町我謝の「真栄」

 【西原】やんばるの貴重な動植物や豊かな自然を紹介する「友利哲夫写真展」が、西原町我謝の岸本明さん宅で開かれている。生物の教師として名護中・高や本部高などで長く教壇に立ち、ヤンバルクイナやヤンバルテナガコガネの発見にも寄与した友利哲夫さん(80)=名護市=が、これまでに撮影した中から27点を厳選。「てっぷー(哲夫)先生」と慕った、かつての教え子たちが実行委員会を結成し、開催を企画した。

 友利さんは剥製標本、写真、映像といった視聴覚教材を用いた生物教育を実践し、教員退職後も本部町立博物館などで環境教育に取り組む。本島北部の自然の観察へ生徒とともにフィールドワークに出掛け、自らカメラを手にして動植物の姿や生態を撮影してきた。
 写真展では、海岸の岩場から飛び立つベニアジサシの群れ、県天然記念物で本島北部だけに生息するフタオチョウがさなぎから羽化する神秘的な光景など、決定的な瞬間を捉えた写真の数々が並ぶ。本部町山川港に沈む夕日や円錐(えんすい)カルストの絶景といった景観の美しさも目を引く。
 友利さんが2013年度の県功労者表彰を受けたのを機に那覇近郊に住むかつての教え子が集まり、写真展開催の準備を進めてきた。名護高時代の教え子だった岸本さんが、自宅の一角を多目的スペース「真栄」として改装したタイミングも重なり、写真を通してやんばるの自然の魅力を中南部にも発信する。
 岸本さんは「地層を見に野外に出掛けたり、先生の授業ではいろいろやった。生徒皆が『てっぷー』の愛称で呼ぶほど、なじみやすい先生。生徒がやりたいことをさせてくれる型破りが受けたと思うけど、当時の校長先生は困っていたかもしれないね」と笑った。
 写真展は29日までで、入場は無料。開催時間は午後1時~8時。会場の「真栄」は我謝公民館向かい。問い合わせは(電話)098(945)7578。