沖尚(2勝)夏第1シード 県高校野球チャレンジマッチ


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 夏の高校野球選手権沖縄大会のシード権を争うチャレンジマッチが12日、沖縄市のコザしんきんスタジアムであった。選抜大会に出場した沖縄尚学と美里工、県春季大会覇者の糸満の3校による総当たり戦を行い、沖尚が2勝で第1シードを獲得した。

1勝1敗の糸満、2敗の美里工が続き、第4シードには県大会準優勝の宜野座が入る。沖尚は美里工に2―1でサヨナラ勝ち、糸満にも2―1で逆転勝ちし、しぶとさが光った。糸満―美里工は、投打にかみ合った糸満が4―0で快勝した。

◆意地と経験、接戦制す 渕上が2試合で決勝打
 沖尚が苦しみながらも第1シードをもぎ取った。選抜大会にピークを合わせていた分「帰ってきてから体の重さがあった」と比嘉公也監督。主将で攻撃の要でもある赤嶺謙をけがで欠く中、サヨナラに逆転と2試合とも1点差の接戦を制し、意地と経験値が表れた。
 1勝で並んだ糸満との対戦。二回に先制されたが、以降はエース山城大智が直球を主体に要所で三振を奪い、追加点を許さなかった。打っては、美里工戦でもサヨナラ打を放った渕上大蔵が四回に決勝の2点三塁打。昨秋の明治神宮大会までレギュラーながら選抜大会で先発を外れた渕上は「チャンスで結果を出せてよかった」と息をついた。
 選抜大会は、2回戦で快勝した後、準々決勝は相手に攻略されて完敗。「爆発力はあるが対応力がない」。指揮官は課題をそう分析する。波に乗れない時にどう切り替えて工夫するか、敗戦から学んだものは大きい。「実戦で課題を見直し、夏に向けて切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」と山城。渕上も「まず九州大会で勝って、夏にコンディションを合わせたい」と成長を誓った。
(大城周子)

◆糸満(1勝1敗)選抜組と互角に
 糸満は持ち味を発揮し、センバツ出場2校に堂々と張り合った。1勝1敗の結果に上原忠監督は「身体能力は高いが野球の技術は未熟で、もう一歩」と課題を口にしたが、美里工、沖尚の両監督も認めるほどの成長ぶりだった。
 美里工との第1試合はエース赤嶺祥吾が4安打完封。直球で押したかと思えば変化球でかわして的を絞らせなかった。打線もほぼ全員の10安打を記録。続く沖尚戦は連戦の疲れもあり、最後は地力の差が出たが1点差と健闘した。
 3年ぶりの甲子園を見据え「まだ発展途上のチーム。チャンスを確実にものにするため仕上げていきたい」と指揮官。この日の戦いを「楽しかった」と振り返った赤嶺は「九州大会を夏につなげ、甲子園に行きたい」と闘志を新たにした。

◆美里工(2敗)、打線本来の元気なく
 この日の美里工には勢いがなかった。糸満戦は散発4安打で無得点。沖尚戦は六回まで毎回安打ながら連打が出ずにサヨナラ負けし、先発の長嶺飛翔の好投も報われなかった。
 糸満の赤嶺と沖尚の神里。両先発の緩急を生かした投球に手を焼いた。主軸2人も無安打で、神谷嘉宗監督は「うちは3、4番が鍵。ここが打てないと打線がつながらない」。
 4番の花城航は「一人一人に勝ちたいという気持ちが出ていなかった」と振り返った。
 選抜大会のマウンドを踏んだ伊波友和は夏へ「どこのチームも地力を付けてくる」と危機感をにじませ、指揮官は「打撃のパワーアップ、投手のスタミナと制球力。底力を付けないといけない」と課題を挙げた。

2試合で勝利を決める殊勲打を放つなどの活躍を見せた沖尚の渕上大蔵=12日、コザしんきんスタジアム(普久原裕南撮影)
2試合で先発し、好投した糸満のエース赤嶺祥吾