材料は「大地」活用 大宜味にアースバッグハウス


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 【大宜味】大宜味村の江洲集落に土のう袋を積み上げて造るアースバッグハウスがこのほど完成した。村内で生活する池中尚子さん(39)が小屋として利用する予定。アースバッグビルダーの吉田鉄平さん(38)=北海道出身=が手掛けた。大地が材料のかわいらしいハウスの完成に池中さんは「ワークショップや上映会をしたい」と夢を膨らませた。

 「アースバッグ」とは、土を袋に詰めた「土のう」のこと。ハウス造りは土を特製の土のう袋に詰め込み、たたいて積み重ねてドーム状に造る。土に石灰を混ぜて石化させるため強度がある。
 イランの建築家が工法を確立し、米カリフォルニアを中心に広まり、自然素材で造れるため人気が出ているという。
 池中さんも「形がかわいい」と昨年10月にアースバッグハウス造りを決意。アースバッグハウスを造る「巡礼の旅」をしている吉田さんのうわさを聞き付け依頼した。
 吉田さんは独学で技術を習得し、数百メートルの特製土のう袋を米国から取り寄せて県内外で2012年ごろから10棟ほどを造った。名護市旭川にも昨年完成し、今秋に本島南部で2、3棟造る予定だ。うわさを聞き付けて注文や見学者が相次いでいるという。
 製作は材料費だけだと約100万円で、人件費はかかるが、同ハウス造りに興味がある若者が手伝うことが多く、安価でできるという。吉田さんは「地元の旭川市では父親たちが協力してログハウスを手作りしていた。家を自分で造ることの楽しさを共有したい」と話した。
 江洲のハウスは1カ月でほぼ完成。内装は池中さん自身で行う。今後は太陽光や風力で発電し、アースバッグハウスを中心に「エコハウス、エコビレッジにしたい」と語った。

アースバッグハウスを前に笑顔の池中尚子さん(右)と吉田鉄平さん=4月21日、大宜味村江洲
外壁を塗る前のアースバッグハウス=4月15日、大宜味村江洲