県警は23日、本物の1万円札によく似た「ウチカビ」(打紙)を使った詐欺事件が発生したと発表した。県警によると21日朝、30代とみられる男が那覇市内から与那原町までタクシーに乗車した際、清明祭などで使われる紙幣を模したウチカビを乗車賃として運転手に差し出し、料金2千円と釣り銭8千円をだまし取った。県警は被害に遭わないよう注意を呼び掛けた。
犯行に使用されたウチカビには「琉球冥界銀行・壱万円」と書かれ、紙幣の中央にあるすかしの部分には表に首里城、裏にシーサーが描かれている。
県警によると、昨年11月下旬にも石垣市内のスーパーで同じウチカビを使用し、釣り銭と商品をだまし取る事件があった。ウチカビを製造した業者は県警からの申し入れを受けて昨年12月に自主回収を実施し、目立つように、赤い文字でウチカビとはんこを押したという。
2度目の事件発生を受けて業者は「沖縄の文化を残したいと苦労して開発した。(犯人に対し)言葉で表現できないほど腹が立つ」と話した。