偶然重なり親戚と対面 県系・ブラジル人、東村訪問


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親族らと対面し喜ぶダリオさん(中央)ら=6月27日、東村有銘の森のふくろう

 【東】県系3世のブラジル人ダリオ・タデウ・サクモト・ピレスさん(36)=東京都在住=が6月27日~7月4日、亡くなった祖父のルーツを探ろうと初めて東村を訪れ、偶然が重なり親族らと対面を果たした。

ダリオさんは「初めて会った感じがしなかった。祖父がつなげてくれた気がする」と感動した様子で語った。
 ダリオさんの祖父・佐久本幸一さんは久志村(現・東村)有銘の出身で、1916年、18歳で単身ブラジルに渡り、現地の女性デアルメイダ・ペドラマリアさんと結婚した。サントスなどで暮らし、バナナ農家として生計を立てた。
 ダリオさんは幸一さんの娘ドラさん(66)の息子。幸一さんが亡くなって1年後に生まれた。周囲に日本人家族などがいなかった幸一さんの子どもたちは、県系人とは疎遠になった。ダリオさんも母親らから、沖縄戦などで「親族は亡くなっているはず」と言われ、親族の存在を知らなかった。
 95年から日本に来ているダリオさん。サンバなどで使うタンバリンに似た楽器パンデイロの演奏家で、ライブに参加するために5年ほど前に初めて沖縄を訪れた。その時、祖父の出身地の話をしたところ「絶対に親族がいる」と周囲から言われ、今回初めて祖父のルーツを探ることになった。
 有銘では滞在したホテルの吉本淳さん(44)の案内で「佐久本」姓の家を訪ね回ると、すぐに親族が見つかった。また、偶然その日は親族宅に家族が多く集まっており、ダリオさんは「僕に内緒で集まっていたと思ってしまった」と笑った。
 区内の喫茶店でも親族が集まり、ダリオさんがパンデイロをたたいてダンスを踊って楽しんだ。親族と対面したダリオさんは「初めて会った感じがしなかった。お母さんに似ていた」と語り「もっと沖縄のこと、東村のことを知りたい」と、うれしそうに語った。