ハンド興南、王手 ボクシング平仲決勝へ 南関東総体


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 【南関東総体取材班】全国高校総合体育大会「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」は6日、東京、千葉、神奈川、山梨の4都県で行われ、県勢は7競技に出場した。ハンドボール男子の興南は法政二(神奈川)に36―31で勝ち、連覇に王手をかけた。ボクシングではライトウエルター級の平仲信裕(南部農林)が準決勝で細野恭兵(北海道)にTKO勝ちして決勝に駒を進めた。

相撲団体の中部農林は予選を2勝1敗として、32強の決勝トーナメントに進んだ。柔道女子78キロ級の新垣さつき(沖尚)は準々決勝まで勝ち上がったが、惜しくも4強入りは逃した。テニスは女子シングルスのリュー理沙マリー(同)が4回戦に進んだが8―1で破れ16強だった。7日の県勢はカヌーや弓道など7競技に出場する。

<ハンドボール>アウェー楽しみ攻守堅実/興南
 頂上まであと一つ。王者・興南が一歩一歩栄冠へ近づきつつある。
 試合序盤は冷やっとする場面もあった。地元・神奈川枠で出場している法政二は大応援団がスタンドに詰め掛け、得点ごとに歓声が湧き上がる。興南は厳しいマークに手こずり、速攻で攻められた。4点差をつけられた10分すぎに黒島宣昭監督はタイムアウトを取った。「守備をしっかりしよう」。マークのズレを確認し、互いに声を掛け合い興南の堅い守りが戻った。下地利輝、田里亮稀を中心に得点を重ね、17―15で前半を終えた。
 後半に入ると、速攻で点を取る興南のスタイルが随所で光った。下地が隙を突いて飛び込みながらダイナミックにシュートを決め、森田啓仁も左サイドから得点を重ねた。「本当は自分で行きたかった」という伊舎堂博武は、マークが3人もつくような状況でパス役に徹し、機を見て自らも決めた。後半7分から約3分で6連続得点をするなど法政二を突き放し、相手の応援団を沈黙させた。
 興南の選手たちは「アウェーには慣れている。楽しかった」と口々に言う。強さゆえに県内でも常に敵チームへの応援が大きくなる。大舞台でも動揺はない。
 決勝の相手は延長戦を勝ち抜いた小林秀峰(宮崎)。下地は「高い位置から強く打っていたが、興南のディフェンスをやれば大丈夫」と自信をのぞかせ、必勝を誓った。(関戸塩)

<ボクシング>“王国”復活の期待/平仲(南部農林)
 “ボクシング王国”復活への足掛かりに期待が集まる。元世界王者の血を受け継ぐ猛者が大逆転TKO勝ちで決勝進出を決め、県勢として16年ぶりの全国制覇にあと1勝と迫った。
 ライトウエルター級準決勝。平仲信裕(南部農林)は追い込まれていた。間合いを見てパンチを繰り出すものの、足の速い相手に逃げられる。リズムを崩し、どんどん敵のペースに巻き込まれた。
 1、2回までは完全に劣勢だった。TKOでなければ勝ち目はない。「捨て身で全部出し切ろう」―。覚悟を決めて挑んだ最終回、ドラマは起こった。お互い連打を繰り出す中、平仲の右ストレートが当たり、1度目のダウンを奪った。
 そこからは気迫のぶつかり合いだ。
 両者ともパンチを浴びせ合い、平仲の拳が相手の顔面にヒットすると2度目のダウンとなり、レフェリーストップで試合が終わった。
 予想外の結末に「自分でも何が起こったんだか…」と目を潤ませる平仲。「勝てて良かった」と喜びをかみしめた。
 頂点まであとわずか。決勝は選抜大会で敗れた相手だが「圧倒的な差はない」と勝算もある。「おやじ(信明氏)も全国総体チャンピオンだし、引き継ぎたい」と高みを見据えた。(仲本文子)

興南―法政二 後半、シュートを決める興南の下地利輝=6日、神奈川県の川崎市とどろきアリーナ(諸見里真利撮影)
ライトウエルター級準決勝 3回、猛打を浴びせ相手を追い詰める南部農林の平仲信裕=6日、神奈川県の茅ケ崎市総合体育館(仲本文子撮影)