民間人戦争被害、新たに10人提訴 那覇地裁、原告数112人に


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 沖縄戦やパラオなど南太平洋の戦争に巻き込まれた民間人や遺族らが、国に損害賠償と謝罪を求めた訴訟で、終戦記念日の8月15日、新たに10人が那覇地裁に提訴した。
 沖縄戦と南太平洋の戦争の統一原告団は112人となった。

 提訴したのは、沖縄戦訴訟が44歳から82歳の4人、南太平洋の戦争訴訟が72歳から81歳の6人。
 蔵前清徳さん(80)=豊見城市=は、サイパンで当時5歳と2歳の弟2人を亡くした。2人に艦砲の破片が当たり、その後収容所に入れられた。だが劣悪な環境でけがは治らず、そのまま2人とも息を引き取ったという。「(国には)謝罪してほしい」と声を絞り出した。
 新たに沖縄戦の原告団に加わった池原徳次さん(61)=金武町=の父の前妻と異母兄弟の合わせて6人を、対馬丸の撃沈により亡くした。戦後生まれの池原さんには記憶はないが、父から対馬丸で亡くなったことは聞いていた。池原さんは「国には補償を考えてほしい」と話した。
 弁護団長の瑞慶山茂弁護士は「基本的人権を回復し、二度と戦争をしてほしくないという意味で(終戦記念日の)きょう提訴した」と述べた。