対馬丸の犠牲者悼む 奄美で海上慰霊祭 南風原の児童ら祈り


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対馬丸の犠牲者へ鎮魂の祈りをささげ、平和への誓いを新たにする南風原町の子どもたち=20日午後10時ごろ、奄美市名瀬港付近の海域を航行するフェリーあけぼの船上

 【奄美市=大城三太】1944年8月、米潜水艦の魚雷攻撃で多くの学童を含む1500人余りが犠牲になった対馬丸撃沈事件から間もなく70年-。悲劇が起きた22日を前に、犠牲者の魂を慰める海上慰霊祭が20日夜、奄美市名瀬港付近の海域を航行するフェリーあけぼの船上で行われた。「第20回南風原町子ども平和学習交流事業」の一環として行われ、町から学童疎開体験者6人と児童12人が参加。焼香と献花で犠牲者に祈りをささげ、平和への誓いを新たにした。

 慰霊祭は午後9時半に開始。対馬丸乗船者で生存者の平良啓子さん(79)が慰霊祭のために手紙を書き、娘で南風原文化センター学芸員の次子さん(52)が読み上げた。「海底に眠る友のみんなへ。あの暗い海での悲しみを忘れたことはありません。幼い姿のままのあどけない笑顔と、助けを求め叫ぶ声を重ね合わせながら、戦争を許さない気持ちで私たちはたたずんでいます。安らかにお眠りください」と読み上げ、犠牲者を悼んだ。
 金城璃子さん(11)=南風原小6年=らが「対馬丸のような悲劇が二度と起こらないよう、戦争のない平和な世界を築いていきます」と述べ、非戦を誓った。