疎開時の苦難に思い 南風原の子ら 宮崎の記念碑訪問


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美々津町の有志が建立した「南風原学童疎開記念の碑」の前で平和への思いをかみしめる交流事業の団員ら=23日、宮崎県日向市美々津町

 【宮崎県日向市=大城三太】第20回南風原町子ども平和学習交流事業の一行は23日、宮崎県日向市美々津町にある「南風原学童疎開記念の碑」を訪れた。親元を離れ、空腹や寒さで苦難を強いられた疎開学童に思いをはせ、平和への思いをかみしめた。市内の寺迫小学校で交流会があり、同校の児童らから熱烈な歓迎を受けた。

 記念碑はことし2月、同市の有志らでつくる実行委員会が日向市などの支援を得て建立。委員会会長を務めた橋口義弘さんは「沖縄の人に十分な食べ物を提供できなかった後悔の思いもある。平和な社会になるように願っている」と述べた。
 碑には南風原町から美々津へ33人が疎開したことが書かれており、児童は刻まれた文字を読み上げ、平和への誓いを新たにした。
 美々津国民学校に通っていた大城和子さん(81)は、川に溺れていたところを当時6年生の中山イワノさん(82)に助けられた。当時の様子を子どもたちに語り、70年ぶりに再会した中山さんに感謝の言葉を述べた。
 交流事業団長の赤嶺正之南風原町教育長は「行く先々で心のこもった歓迎を受け、感激している。子どもたちは体験者と共に疎開地をたどり、関係者から生の声を聞いて有意義に学ぶことができた」と総括した。