7日に有権者の審判が下された統一地方選挙。米軍普天間飛行場の移設問題で注目された名護市では、新基地建設に反対する議員が過半数を占めた。与党は「新基地建設を止めるぞ」、野党は「善戦するかと思ったが」とそれぞれ語り、明暗を分けた。そのほかの市町村では、若者や女性、福祉などそれぞれの立場から政策の実現を訴えた候補者が当選し、支持者や家族と喜びを分かち合った。託された1票の重みを受け止め、任期4年間の活躍を誓った。
【名護】名護市辺野古への新基地建設が進む中で行われた名護市議選。「オール沖縄の源流を地元から発信」の合言葉で戦った与党候補の訴えが有権者の心をつかみ、14人当選で過半数を占めた。選挙戦は稲嶺進市長の後援会が与党候補を全面バックアップした。当選者や事務所に集まった支持者からは「今後も稲嶺市政をしっかり支え、基地を阻止するぞ」「民意は再び基地ノーを示した」など激しかった選挙戦を勝ち切り、万感の喜びに沸いた。
稲嶺市長は8日午前1時すぎに記者団に答えた。「与党16人全員の当選を目指して頑張ったので、かなわずに残念だ」と終始厳しい表情。一方、過半数を確保したことには「(基地問題については)日本政府に対しても信念を持って訴えていきたい」と力を込めた。
野党候補者はおよそ半数が基地を争点化しない戦いで、経済振興や雇用拡大などの浸透を図った。現有議席は1議席増となったが議席逆転はならず、自民党名護市支部の末松文信支部長は「もう少し善戦するかと思ったが…」と悔しさをにじませた。米軍普天間飛行場の辺野古移設については「今選挙の議論ではなかった」とし、影響はないとの見方を示した。
与党で名護市大北の比嘉勝彦さん(57)の事務所では8日午前0時5分ごろ、テレビで当確の文字が映し出されると、待ちわびた支持者から「出たー」と歓喜の声が上がった。比嘉さんは「やったぞ」とガッツポーズし、支持者と体をぶつけ合いながら勝利を味わった。これまで辺野古移設反対を掲げる稲嶺市政を支えるため、市議会の調整役として汗をかいてきた。「今後も多様な意見をくみながら、『ススム』をサポートしていく」と力を込めた。
辺野古出身で新基地建設を容認する宮城安秀さん(59)は8日午前0時すぎ、約100人の支持者の前で「この大きな期待をしっかり胸に受け止め、一生懸命頑張りたい」と話した。
ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表=名護市=は「与党が過半数を獲得したことは喜ばしいことだ。市長選と同様に、市民が基地建設に反対していることが証明された」と選挙結果を歓迎した。