唄者・金城さん戦争体験語る おんがく村でトーク&ライブ


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民謡唄者の金城実さん(右)を招き開かれたトーク&ライブ=5日、沖縄市の一番街、おんがく村

 【沖縄】沖縄市の一番街に開設された市音楽資料館「おんがく村」(備瀬善勝館長)の企画第1弾となるトーク&ライブが5日開かれた。ゲストには民謡唄者の金城実さんを招いた。戦争体験を踏まえ「生きていることに感謝している」と話した金城さん。今歌えることの喜びをトークを交えて、参加者に語り掛けた。

 会場には約100人の金城実ファンが訪れた。冒頭で自己紹介を兼ねた「みのる節」を披露。その後、約3年をかけて1981年2月に完成したLPレコード「時代」を話題の中心に据えて、備瀬館長と舞台を盛り上げた。
 レコードに収録された「裸足禁令の唄」や「白黒節(しるうくるうぶし)」といった戦前の歌を演奏した。金城さんはパラオからフィリピン、台湾と引き揚げる中で、船が魚雷攻撃を受けたり、空襲があったりと命からがら終戦後に沖縄に戻った自らの人生を振り返った。
 また兄弟3人をマラリアなどで亡くした経験などにも触れ、「本当だったら、3度は死んでいる。ことしやっと80歳になったが、こんなに長生きさせてもらって本当に感謝している」と語った。
 戦後の歌では「屋嘉節」「PW無情」「敗戦数え唄」「あこがれの唄」「南洋小唄」を次々演奏して、参加者をうならせた。
 次回のおんがく村企画は、10月にジャズをテーマに開催する予定。