核兵器撤去が争点に スコットランド住民投票


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浮動層の獲得に向けて支持を訴える独立反対派の市民(手前)と、テーブルを設け署名を呼び掛ける賛成派の市民=スコットランド・エディンバラ

 【スコットランド=新垣毅】イングランドと統合以来の307年間で「初のビッグイベント」―。こうした掛け声の下、英国からの独立の是非を問うスコットランドの住民投票が18日午前7時(日本時間同日午後3時)、始まった。

独立賛成派、反対派双方の市民らは17日まで、歴史的判断に悔いは残すまいと浮動票の獲得に躍起となり、必死に支持を呼び掛けた。経済政策と共に最大の争点は「核兵器の撤去」だ。専門家はスコットランド独立となれば「在沖米軍基地の在り方にも影響する可能性がある」と指摘している。
 投票動向や背景を調査するため現地を訪れている島袋純琉球大教授(政治学)は「英国の核戦略は、スコットランド・グラスゴー近くの軍港に駐留する原子力潜水艦に依存している。イングランドには停泊可能な港がなく、また造れないので、そこにしか置けない」と指摘する。
 その上で「米英の核戦略は一体化している。核兵器撤去となれば、英国はその核戦略から離脱せざるを得なくなり、米英軍事同盟の弱体化につながる。そうなれば米国の世界的な軍事覇権の維持にも影を落とす。沖縄にも無関係ではない」と話した。
 スコットランドの街中は独立に対する「YES」と「NO」の文字があふれる。いずれかのバッジを身に着ける人も多く、家の窓や壁に大きな文字を掲げ意思表示する所もある。
 独立に反対する英国主要政党の党首らは今週に入り「大きな権限をスコットランドに与える」と宣言。独立阻止へ次々とスコットランドに要人を送るなど、てこ入れを図った。
 一方、賛成派は法律で認められている戸別訪問など地道な活動を展開するなど約3万5千人を動員した。中心都市エディンバラには世界中からメディアが続々と集結し、繁華街などで中継する様子も多く見られており、世界的な関心の高さをうかがわせている。